VAR 振れ取り台 #74 《Atomic》の簡易再生
「ある時、スポーク折れで ゛振れ取り ゛に入った自転車店が、先進的に色々扱っていたサイクルショップだったのかもしれません。その後、どのような経緯かは良く覚えておりませんが、その自転車店でVARの振れ取り機(No74)を購入することになりました。その時に「VAR CATALOGUE GENERAL 1970」を手に入れた?…としか思い出せません。いつの頃かは、分かりません。」
数十年前に2、3度使用しただけの ゛VARの振れ取り台 ゛、物置の中でサビだらけでしたが、今年のコロナ禍のお陰で復活を果たしました。「新しい生活様式」の早朝ポタリングを9月より始めましたが、リムの振れ取り、手組みによる新しい車輪組みで必要になり、引っ張り出しました。日の目を見たものの、1、2ヶの不具合箇所とサビが酷く、簡易再生に取りかかりました。「簡易」としたのは、機能がある程度復活出来れば良く、見映えにはこだわらないという事です。
○不具合箇所
不具合一箇所は、Aのミスで作ってしまいました。この振れ取り台は、とある所で1970年代に手に入れたものですが、Aの持っている1970年付けのVARのカタログに載っているものより幾らか進化した型式のようです。
振れ取り台は2部構造で、基台より突き出た2本のパイプで支えられた上部のハブを固定する部分と、上部に設けられた2つの差し込み口に差し込まれた2本の支柱に支えられた下部の計測ゲージ板です。ゲージ板の上には、2本の支柱よりそれぞれ伸びたリムの振れを調整・測るためのスピンドルがありますが、1970年付けカタログには、その伸び縮みするスピンドルを固定する「蝶ねじ」がイラストには描かれておりません。Aのものには、真鍮製の蝶ねじがあり、明らかに進化型式のようです。
(「VAR CATALOGUE GENERAL 1970」の#74 振れ取り台)
(簡易再生した VAR #74 振れ取り台)
風呂敷に包んだ振れ取り台は、物置の整理毎にあちこち移動し、案外雑に扱われていました。まだ、捨てられないだけ良かったかもしれません。物置より持ち出した直後、ゲージ板の上の右側のスピンドルを固定している蝶ねじが曲がっていました。そのままにしておけば良いものを、曲がりを直すために指で強く押すと、柔らかくもろい真鍮製の蝶ねじは、途中から折損、ねじ穴に数ミリの部分が残りました。ほとんどねじ穴に入っていますので、ニッパでつかみ出すことも出来ず、全く途方に暮れました。
再生・修復作業をしやすくするため、サビだらけの振れ取り台を個々のパーツに分解しました。
(作業しやすく分解された VAR 振れ取り台 #74)
4mmのねじ穴に残された折損ネジを取り除くべく、Φ1.5mmの金属ドリル刃をインパクトドライバーで折損ネジの中心から外れないように(4mmのネジ穴を潰さないように)、穴開け加工をします。慎重に2mmほど穴開けし、逆回転させると呆気ないほど刃先に折損ネジがくっついてきました。ドリル刃先だけを抜くつもりでしたので、偶然のことに、随分な驚きでした。
折損ネジの代替えには、計測ゲージ板のネジが使えました。短くなった折損蝶ねじは、そのまま計測ゲージ板の固定用に交換使用出来ました。
(折損ネジとその取り出し方法の図)
(インパクトドライバーの逆回転で取り除けた折損ネジ部分)
(直った右側リム調整・測りスピンドルの固定蝶ねじ)
不具合箇所として、もう一箇所発生しました。左右のリム調整・測りスピンドルのリムに接触する部分には、円筒金具の先にプラスティックが接触面保護のために取り付けられ、バネにてリムの振れ凹凸によって伸び縮みします。左側は正常にバネにより稼働しますが、右側の円筒金具が内部のサビによる固着か? 全く動きませんでした。このまま使用する積もりです。
(内部で固着? 全く動かない右スピンドル円筒金具)
○再生(錆取り)作業
再生の主な作業は、不具合箇所を除けば、錆取り作業です。メッキ部が無く、黒焼き付け塗装? と鉄露地が主な表面にサビが発生していますので、「再生 スポルティーフ(1)」(2019.1.17)で使用した錆取り・防錆剤の中性で界面活性剤が主原料の「花咲かGタンククリーナー」と、布サンドペーパーの出番です。「花咲かGタンククリーナー」は、10倍希釈で1、2度使用したものを、浸し時間を長く取り、改めて再使用します。箇所によっては、塗装面を錆びごとサンドペーパーで削り取って、「KURE CRC 5-56」で錆止めをしました。
(「花咲かGタンククリーナー」と3回使用の10倍希釈液)
(プラケースの一部を使い「花咲かG~」で計測ゲージ板の支柱錆取り中)
(台上部左側ハブ押え 自転車ハブの場合は先端の鉄円錐は使用しない)
(台上部右側ハブ押え シャフトに刻印された目盛りは左右前向き)
(左側リム調整・測りスピンドル部 このスプリング円筒金具は稼働)
(振れ取り台上部を後方より見る)
(振れ取り基台裏側に浮き出た74の番号)
(使用するのが楽しみな VAR 振れ取り台 #74 《Atomic》)