近づくほどに芳香は
遠ざかり
離れると・・また、
鼻の周りを訪ねてくる
十字にほどけた
金木犀の花が房をなして
辺りに漂わす
秋の香り
花弁が枝を離れれば
未練の残り香を
漂わせることもなく
抜け殻となった花弁は
やがて・・・
風の箒に掃かれて
何処へともなく
消えてしまう
儚くも潔い
花言葉の「気高い人」が
すとんと胸に落ちる
孤高の花の時節は過ぎ
秋が日ごとに深まってゆく
(産経抄より一部抜粋)
*令和2年10月13日 近所にて