浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「御垂訓」

2017-12-17 23:32:15 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

      恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より


        第四章 「思い変え」こそ幸せの扉を開ける鍵

   ◆人の愚行によって自分の心の平安を失った時、
                    その人よりも自分が愚かとなる◆

先の続き・・・

提婆達多(ダイバダッタ)という人は生涯お釈迦様を目の敵にし、
あの手この手で評判を落とそうとしたり、命を狙ったりしました。
街頭にいた貧しい妊婦に金を与えてお釈迦様が孕ませた子だと
街中を触れ回らせたのもその一つですが、お釈迦様はこれを捨て置き、
何ら弁明はしませんでした。
もちろん、こうした悪意からの卑劣な行為は天に向かって
唾を吐くことになりますから、神様が罰を当てなくとも、
結果は自分に戻ってきて哀れな最期となって当然です。
ここでもしお釈迦様が相手に反応してしまったならどういうことになったかは
想像に難くありません。
自分の心を苦しめてはなりません。

まして自分に非がないのに相手から喧嘩を仕掛けられて、
それに心を動揺させたら丸損になります。
提婆達多とまったく同じような人が私にもありました。
私を目の敵にし、なんとかして評判を落とそうと、
卑劣にもまったく事実無根のありとあらゆる悪意を尽くした作り事を
十年間言いふらしてくれました。
私もただの凡夫ですから、弁明や抗議の一つもしたくなった時もありましたが、
いっさい捨て置くことにしました。
今から三年前、その人は全身マヒで口も聞けず、手足も動かず、
意識だけはハッキリしている生き地獄の中で死さえゆるされずに
生きているようです。
近づく人もなく、やせ衰えて見る影もない哀れな姿だということです。
自らの行為を反省され、神の愛し子として目覚められることを祈るばかりです。
先程は五蘊の説明をしましたが、
人間には肉体を持ったがために避けられない困難や苦悩がついて回ります。
「色受想」までの段階で生んだ迷いを、そのまま「行」すなわち行為に
もたらしてしまうまた罪をつくり、苦しみの原因となります。


            ~ 感謝・合掌 ~




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「御垂訓」

2017-12-17 00:09:32 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

     恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より


      第四章 「思い変え」こそ幸せの扉を開ける鍵

   ◆人の愚行によって自分の心の平安を失った時、
                     その人よりも自分が愚かとなる◆

先の続き・・・

これは自分中心に考えるからです。
しかし、ちょっと距離を置いて冷静になれば、相手が、
まったくわからないので犯している誤った行為のあまりの愚かさに
唖然としてしまい、どうしたよいのかお手上げになると同時に、
相手には当然軽蔑の念を持ちます。
そこで、一旦角度を変えて、また自分の視点から眺めると、
やはり自分に向けられている不都合な行為と見るから、
再び腹が立ってきます。
ここで怒るのは簡単です。

相手に怨みや憎しみをおもいきりぶつければ、
さぞかし爽快な気分になることでしょう。
少なくとも一時的には気持ちがスッキリするかもしれません。
しかし、ここで気をつけなくてはならないのは、
その後の結果がどうなるかです。
自分の心はたちまち墨を流したように真っ黒に汚れるでしょう。
腹に固まりができ、心臓がドキドキ、血圧も上がるでしょう。
怒りの思いが心の調和を破り、肉体まで痛めます。
今度は後始末がたいへんです。

相手との間にさらにいっそう激しい憎しみの業火が
燃え盛ることになるかもしれません。
しかも、自分自身はもともと誤りがなく、
不調和な心になる原因もなかったのです。
それを人の愚かな行為や言葉によって、
我が心の平安を失ってはいけません。
新たな苦しみを増やすようなものです。
相手が愚かだと云いながら、
自分はそれ以上に愚かだということになってしまいます。
聖典に「人の愚かなる行為をもって我が心の楽しみを失うことなかれ」
「人の愚かなる行為をもって我が心の楽しみを失う者は、なお愚かなリ」と
書かれています。
相手の行為を愚かだと思っても、それに対して怒ったり非難したりしたならば、
自分がなお馬鹿になり下がってしまいます。
喧嘩するためには必ず相手のレベルまで自分の位置を下げなければなりません。
軽蔑する相手よりさらに馬鹿になりたくなかったら、
相手にしないで黙殺すべきです。


                ~ 感謝・合掌 ~


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