浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「御垂訓」

2018-02-15 23:17:43 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より


         第五章 心の曇りをとるための反省

     反省してはじめてわからせていただいた母親の愛

先の続き・・・

もし、羽があれば鳥のように飛んでいって、
土下座してでも母にお詫びをしたいという気持ちが湧き上がってきました。
しかし、そうもまいりませんから、山を下り家に帰り着くと、
すぐに電話させてもらいました。
電話の向こうで「もしもし」という母のなつかしい声を聞いたとたんに、
心は幼な子に帰っていました。
私は子供の頃、母を「おかちゃん」と呼んでいたのですが、
電話で母の声を聞くと、
「おかちゃん、堪忍してや、堪忍してや」と言ったまま、受話器を持って
ワンワン泣いてお詫びしていました。
母親の愛とはありがたいものです。

突然の電話からの私のただならぬ声を耳にして、「お前、頭は大丈夫か。
頭がどうかなったのと違うか」と気遣ってくれるのです。
「僕は幼い頃から親不孝ばかりしてきました。
どうか赦してください」と言うと、「頭は大丈夫か」と尋ねられたのです。
「私の言っていることは頭がおかしいように聞こえますか」と聞くと、
「いや、別におかしゅうはないけどな、いい年をしてそんなに泣くな」と
言われました。
子は親の心配をありがた迷惑に感じたりして、
親の生きている間はなかなか親の愛の本当のありがたみはわからないものですが、
まことに親というのは、子の身に何か一つでもあれは心配してくださいます。
取越し苦労という面はあったとしても、

そこまでこまやかに愛を注いでくださるのはこの世では親だけです。
そして、その無私の愛は神様の愛に通ずることを知りました。
父母への感謝ができなかったならば、どうして神様への感謝ができましょうか。
しかし、この尊さを知るには、私たちにとって親の存在はあまりにも近すぎて、
改めて意識することはありません。
これは空気や太陽や水によって生かされながら、
その有難みをつい忘れ、当然のごとくに毎日を送っているのに匹敵すると思います。
では、どうしたらこの「慣れ」を克服して、感謝と報恩の心に目覚めさせて
いただけるのでしょうか。
そこで、反省が必要となってきます。
魂の自覚によって、人は神の分け御霊の名に恥じないように立派に生きていけます。


              ~ 感謝・合掌 ~




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「御垂訓」

2018-02-15 00:50:13 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

      恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より


            第五章 心の曇りをとるための反省

        反省してはじめてわからせていただいた母親の愛

先の続き・・・

この母の大きな愛に対して幼い私が大きな嘘をついてだましている。
そして母の愛を裏切っているこの姿を見た時、「ああ、痛かったやろうなあ。
かわいそうになあ。つらかったやろう」
「友達のお母ちゃんはなんであんばいしてくれんじゃったろう」と
言ってくれたそのことを、ずっと反省させていただきました。
不思議なもので、三日も四日も一つのことを追求し続けていくと、
その時の場面が本当にそのまま出て来るのです。
足の肉が裂けた時の感覚がはっきりと再現されます。
真剣に反省に取り組めば、その当時の状況が詳しく思い出され、
肉体の感覚までありありとよみがえってきます。

相手の立場に立つということは、
この場合、母の立場に立って自分の行為を反省してみることですが、
まず母は幼い我が子に対してどのように思ってくださったか追求します。
母は足の怪我を見た時、すぐに友達の家で怪我をしたのではないことくらいは
わかったはずです。
血止めの草をすりつけた足の傷をボロ布で巻いているのですから、
これはおかしいなと思ったことでしょう。
にもかかわらず、
そんなことよりも「ああ痛かったやろうな。かわいそうになあ」という
思いのほうが強いのです。

私のついた嘘を取り沙汰して善悪の理非を正すより、
母親の愛のほうが偉大であったとわかりました。
間違いを犯した時に叱って云い聞かせる厳しい父性愛とは違って、
お母さんの愛というのは、たとえ口では小言を言ったとしても、
赦しの心でやさしく包んでくれます。
煩悩を戒め、降魔の剣で厳しく断ち切ってくださる忿怒相(怒りの表情)の
不動明王に対して、衆生の悩み苦しみの声を聞いて救ってくださるご慈愛深い
観世音菩薩のような役割です。
その神様のような観音様のような愛を持ったこの世でたった一人の母に対して、
私は嘘をついて畑に行かず遊びに行ってしまったうえに、
粗相をしでかして大怪我をし、親に心配をかけている。
七歳の当時のその自己の心と行いの姿をよく見つめ直した時に、
「ああ、本当に申し訳ないことをした。
お母さんの愛を裏切って幼い頃から嘘をついてきた私をどうぞ赦してください!」と、
泣いて泣いてお詫びさせていただきました。


              ~ 感謝・合掌 ~




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