恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
求める師に巡り合うご縁
同じく先月のお話会の時、東京から夜十二時頃に着いて、
朝まで家の表で待って下さった方がありました。
私のような者の為に、中にも入らず朝まで外で
待っていただいたその方に対して、
ほんとうに申し訳ない、勿体ないことだと、思っておりましたら、
その方から次のような手紙を頂きました。
「―――長尾先生、ありがとうございます。
私は十一月二十二日の講演を聞かせていただいたあの晩、
外で待っていた者です。
初めて会うのだから、病気のことなど訴えては厚かましい、
目的は法を聞きにきたのであるから、
病気のことは口にすまいと決めていました。
ところが思いもよらず、先生のほうから身体を治していただき、
ほんとうに嬉しかったです。
いつも奇跡は他人のことといったふうにどこか
侘しく思っていましたので、
わが身に起こったことは大変な驚きです。
話は前後しますが、前の晩、門前で待っていた時も、
寒さはあっても、苦しいとは思いませんでした。
というのも、寝そべって山門と星空を見上げていたら、
ずっと昔も、師を訪ねたこんな自分があったような、
何か懐かしい思いで胸がいっぱいだったのです。
本当に来たるべくして来たような神秘的な思いでした。
又お会いできる日を楽しみにしています。―――」
このように書いていただいております。
この方は師を求めて、その昔、中国で師に合うために
山門で朝まで待たれた
過去の記憶があったのです。
自ら求める師に巡り合う為には、夜通し外で待っていただいて、
こうして縁を頂く方も多々あるのですね。
私自身、過去は知りません。
しかし皆さんから、私の過去を証明していただきます。
或る時はイスラエルで、或る時はインド、又ギリシャで、
中国で、ご縁のあった心の友が今こうして集うておられます。
すべて過去に深い縁のあった方ばかりです。
いとしい友よ、この見えない糸によって、
この場所にこうして集うているのです。
お互いに、一人でも多くの方を救っていきましょう、
喜びを与えていきましょうと言って、誓い合った仲間です。