恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
東京・沖縄講演のお土産話――懺悔と告白
先の続き・・・
最終的に末期が訪れますと、
病院のベッドの鉄の手すりをグニャーと曲げてしまう方がよくあるそうですが、
あの鉄のパイプを痛み苦しみの為に曲げてしまうのですね。
まだ法にご縁のなかった頃、私の知った或る方で、
乳癌の苦しみから自分の頭の毛を全部引き抜いた方がありました。
又、畳の上で死ぬ時、その痛みに耐えかねて畳をかきむしって、
その中の藁を全部引き出すぐらいの激痛が襲う場合もあります。
苦しみもいろいろと段階があります。
私も恐らく罪が深いから、
そう楽に死なせてもらえるとは思っておりません。
今から覚悟しております。
少々の苦しみは、それは致し方のないことですね。
お互いに覚悟はしておかなくてはいけませんね。
楽にコトンと死ねたら幸せですけど、そんなにうまいことはいきません。
うまくいけば幸い、いかなくて当たり前です。
しかし、覚悟だけはしておかなくてはいけません。
いよいよ最期が訪れた時は苦しみも襲うでしょう。
七転八倒の苦しみが襲うかもしれませんが、
この世のあるだけの力をふりしぼって、
私は身近にいて下さる皆様一人一人に「ありがとうございました。
お世話になりまして、心からお礼申し上げます」と,
感謝の言葉だけは言わせていただきたいと思います。
もう少し余裕があれば、
「今ここにいていただけない縁ある方々にお礼を申し上げて下さい」と、
言付けをお願いしてあの世に帰りたいと思っております。
その代わり、死んでしまったと思いましたら、
もう振り向きもしないで極楽の世界へ一目散に走っていこうと思います。