恩師のご著書「講演集」より
講演、四
えびす詣でと、大黒様
示し申す神こそ、まことの神です。
このまことの神を信じたらいいのです。
日本にはいろいろ八百万の神がおられますけれども、
そういう神々を、初詣でと
いってお参りするのも、悪くはないでしょう。
しかし、ほんとうの神様はただお一人であるということを、
しっかり知ることです。
大阪のえびす様には、正月三日間のお賽銭が何億円と集まるそうですね。
これは、「えびすさんへ参って福をもらってこようか」と言って、
皆さんがお参りして、賽銭を上げて、何か食べて、電車賃を使って、
帰ってくるのです。
帰ってきますと、一万円持っていったとして、
その内のいくらかが減っています。
これは、福をもらいにいっているのではなくて、
福を失いにいっているのです。
福をもらったのは誰かというと、
僅か三日間でたくさんの福をもらわれたえびすさんです。
えびすさんはホクホクです。
そして、福をもらいにいったはずの人は全部福を失っています。
これが現実ですね。
もし一万円持っていった人が、家に帰ってきて財布を開けると、
「あら、一万五千円になっている」というのでしたら、
五千円の福をもらってきたことになりますが、
そんなうまいわけにはいきません。
大黒さんも福の神で、あの打ち出の小槌を振ったら、福が出て来る、
小判が出て来るといいますが、あれは真っ赤な嘘です。