恩師のご著書「講演集」より
講演、四
「水」が教えてくれる自然の法則
先の続き・・・
そして自ら低くなった時、他はその人を持ち上げようとするのが自然の法則です。
水は低きに流れても、蒸発しますと、何ものよりも高く上に昇ります。
日々の生活を常に低く低く生きることです。
これは、自然が教えてくれています。
「私は偉いのだ」と、自ら偉ぶっている人は、ほんとうは偉くないのですね。
実るほど頭の垂れる稲穂かな
この句を、私たちは幼い頃から嫌というほど聞かされています。
稲穂は実るほど頭を垂れてきます。
しかし、頭を垂れない穂もあるのです。
それは、まだ実らない間に、雀が米の汁をみな吸ってしまった穂で、
全部突っ立っております。
人間も同じことで、「自分は偉いのだ」と言って、反り返っている人は、
魂の中が吸い取られて空っぽになっていると思えばいいのですね。
自分で自分を偉いという人がいたら、
「へえ、偉いんですなあ、お宅は偉いんですなあ」と、
繰り返し褒めてやりましたら、しまいにはもう偉そうにしなくなります。
相手が「自分は偉い」と言った時、「そんなことはない」と言うと、
喧嘩になりますから、偉ぶる人には、こちらも「偉い、偉い」と褒めてやると、
偉ぶるのを止めてしまいます。