生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

その場考学研究所 メタエンジニアリング シリーズ (KME498) 北朝鮮の長期戦略

2017年09月17日 21時05分17秒 | メタエンジニアの眼
 その場考学研究所  メタエンジニアリング シリーズ498
          
TITLE: 北朝鮮の長期戦略
 北朝鮮は、なぜ執拗にミサイルと原爆の開発に執着をするのだろうか。この命題をメタエンジニアリング的に考えてみた。アメリカが北朝鮮を領土としたり植民地にしたりするとは、考えられない。それなのに、なぜアメリカを敵国と名指しにした兵器を開発するのだろうか。それは、彼らが将来に備えて、ある目的のために強い仮想敵国が必要なのだ。
 歴史的、地政学的にみて北朝鮮の脅威は対中国が最大だろう。紀元前の前漢の時代から、高句麗をはじめとして、すべての朝鮮王朝は中国(現代の中国は、かつての北方民族も含む)からの脅威に晒され続けてきた。地政学的にも北朝鮮は中国が日本海に出るための重要な拠点になる。満州にはない利点が存在する。
 日本や韓国が侵略した時の対応は、歴史的に何度も経験済みだ。つまり、中国が真剣に対応してくれる。しかし、中国からの侵略があるときに、日本や米国の応援は期待できない。
 将来の中国からの脅威に対抗するためには、中国の主要都市を直接攻撃する能力の兵器の所有が必要になる。しかし、現状においてそれらを表立って開発することはできない。そこで考えたのが、アメリカを仮想敵国にすることだった。国連安保理から受ける制裁は短期的なものだが、彼らが目指すものは長期的なもので、価値は後者が圧倒的に大きい。
 必要以上にアメリカを口撃し、本土殲滅などと、まったくできもしないことを言い続けるのは、注意をアメリカにそらし続けることであり、アメリカが北朝鮮を攻撃しても、イラクの時のような利益は何も得られないことを知っている。勿論、トランプの経営者感覚(敢えてリスクをとって、何か全く別のものを得る)で局所的な攻撃はあり得るが、それでも、一度開発された技術を完全に消し去ることはできない。
したがって、この北朝鮮の戦略は成功を収める可能性がかなり高い。南と北からの脅威に常に対峙してきた北朝鮮民族の智慧なのだと思う。「金」王族は、歴史上つねに漢民族と敵対していた。先祖からの家系に拘る朝鮮民族特有の文化から発した戦略だと推察する