『ハヨンガ』

『ハヨンガ　ハーイ、おこづかいデートしない？』　チョン・ミギョン作　大島史子訳　アジュマブックス
　韓国の違法アダルトサイト「ソラネット」に戦いを挑む人々のドキュメンタリー風小説。インターンとして働くジスは、同僚のファヨンのセックス動画がソラネットに投稿されるのを知り、悩みながらも本人に伝える。ファヨンの世界は崩れ、恐怖に突き落とされる。ある日、ソラネットの掲示板に一斉投稿し、システムを麻痺させようとういう計画が持ち上がって。
　招待と称して酔いつぶれた女性に対するレイプ参加者を募る場面に凍り付く。あばずれと言う意味で雑巾と呼ばれる女性。雑巾ってひどすぎる！飲み物に薬を混ぜられてレイプされる女性。盗撮、リベンジポルノ、レイプ等。いずれも、被害者に非はないのに、動画を流出され、被害者が恐怖や絶望を味わうなんて。おかしいじゃないか！安心して暮らしていけない。そして、隣国・韓国の話だと思えない。知らないだけで、日本だってあるかもしれないと思う。
　だから、女性たちが立ち上がり、ソラネットのシステムを麻痺させた場面は、痛快。
　しかし、その後、ファヨンはピンチに陥る。その場面は、ハラハラした。
　ジスとかの言葉遣いが男ぽいというか乱暴なことが気になったが、それは私の間違いだと気づく。嫌なことは「やめて」とお願いするのではなく、「やめろ」と命令形にするのだ。女性は、いつの間に命令形ではなく、嘆願の形を取るように世間的に植え付けられたのだろうか。
　女性はモノじゃない。