『エレジーは流れない』

『エレジーは流れない』　三浦しおん　双葉社
　海と山に囲まれた餅湯温泉。団体旅行客で賑わっていたかつての面影はとうにない。のどかでさびれた町に暮らす高校2年生の怜は、複雑な家庭の事情、迫りくる進路選択、自由奔放な友人たちに振りまわされ、悩み多き日々を送っている。そんななか、餅湯博物館から縄文式土器が盗まれたとのニュースが……。
　餅湯温泉につかって、のんびり、ほっこりしているような話。ハードな本を読んだ後に、読むといいと思う。皆なにかの事情や思いを抱え、それぞれ助け合って生きている。普通の日常を描いているのがいい。親はうっとうしいし、何になりたいかなんてわからないという高校生の気持ちがリアル。ちょっとおバカな？男子高校生の行動に　ところどころで、ぶふっと噴き出すところもあった。