図書館本の返却日に追われるように、本を読む。午前3時まで読む日が二日続くと 頭が痛いし、眠い。
『風よ あらしよ』 村山由佳 集英社
明治・大正を駆け抜けた、アナキストで婦人解放運動家の伊藤野枝。生涯で三人の男と〈結婚〉、七人の子を産み、関東大震災後に憲兵隊の甘粕正彦らの手により虐殺される――。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。
あまりにも本が分厚くて たじろいだ。しかし、野枝の激情に押し流されるように読み終える。
野枝は、エネルギーの塊。女というだけでモノのように里子に出されたり、勉強をあきらめさせられたり、無理やり結婚させられたり。困難を打破していく力には頭が下がるが、明治・大正の時代では生きずらかったと思う。自分の気持ちを押し殺して生きていく人が多数の時代に 自分の気持ちを大切にするのは大変だったと思う。それだからこそ、魅力的であるのだが。
大杉と野枝の暮らしは想像を絶する。常に金はない。外に出れば必ず警官に尾行され、大杉は何かあったら すぐに拘束され。そうかと思うと大杉は警官を巻いて、外国へ行ったり。破天荒すぎる。しかし、大杉栄の自由恋愛は、勝手だなあと思う。自分がいろんな女と関係をもちたいだけじゃないか。
この二人が殺されず生を全うしていたら、日本はどうなっていたのだろうか、と思わせる。
NHKでドラマ化したらしい。見たかったな。再放送ないかな。
『三人の女たちの抗えない欲望』 リサ・タッデオ 池田真紀子訳 早川書房
高校時代に恋愛関係にあった教師を、性的虐待で告発する大学生マギー。レストラン・オーナーとして成功しつつも、夫に従い、第三者を交えた乱交生活を送るスローン。性暴力のトラウマに苦しむ一方、SNSを通じて再会した初恋の相手とのダブル不倫に陥る、二児の母リナ。3人の女性たちの欲望と、抑圧からくる苦悩を丹念に取材したノンフィクション。
性愛描写が結構あるので、それが苦手な人は注意。
表題がなあ。欲望にまみれたような表題だが、主人公たちは過去に性被害を受けたり、家族に人格を受け入れてもらえなかったりしている。私は、それがトラウマになっていると思うのだが、この表題では抑えきれず噴出した性欲という感じがするから「違う」と思う。
教師を告発したマギーは、裁判で負ける。教師は、今も教師をしている。マギーは、様々な人に裏切られ、精神的にまいっている。加害者が普通に生活をし、被害者が二重三重にも苦しめられている姿が辛い。
『サワー・ハート』 ジェニー・ザン 小澤身和子訳 河出書房新社
毎朝起きるとゴキブリまみれ、残飯を求めゴミ箱に飛び込む──。注目のアジア系アメリカ作家が描く、上海からニューヨークへ移住した極貧一家で育つ少女のダークでコミカルな連作短編集。
短編がある場所で共同生活した人でつながっているのがおもしろい。
文化大革命で暴走する子どもたちが怖かった。
なぜか読みにくく、頭に全然はいってこなかった。
『本心』 平野啓一郎 文藝春秋
「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。母の友人だった女性、かつて交際関係にあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る――。
主人公は、他人に自分の体を貸して命令通りに動く「リアル・アバター」という仕事をしており、母そっくりに作ったヴァーチャルフィギャアがAIで学習して、なんたらかんたら。前半は、まったくついていけてなかった。しかし、主人公がコンビニで働く外国人が理不尽に責められているところを助け、それを隠し撮りした動画がバズるところから俄然おもしろくなってきた。
ちょっと様々な問題を盛り過ぎた感はあるかな。でも、ラストは希望が見えてよかった。
『風よ あらしよ』 村山由佳 集英社
明治・大正を駆け抜けた、アナキストで婦人解放運動家の伊藤野枝。生涯で三人の男と〈結婚〉、七人の子を産み、関東大震災後に憲兵隊の甘粕正彦らの手により虐殺される――。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。
あまりにも本が分厚くて たじろいだ。しかし、野枝の激情に押し流されるように読み終える。
野枝は、エネルギーの塊。女というだけでモノのように里子に出されたり、勉強をあきらめさせられたり、無理やり結婚させられたり。困難を打破していく力には頭が下がるが、明治・大正の時代では生きずらかったと思う。自分の気持ちを押し殺して生きていく人が多数の時代に 自分の気持ちを大切にするのは大変だったと思う。それだからこそ、魅力的であるのだが。
大杉と野枝の暮らしは想像を絶する。常に金はない。外に出れば必ず警官に尾行され、大杉は何かあったら すぐに拘束され。そうかと思うと大杉は警官を巻いて、外国へ行ったり。破天荒すぎる。しかし、大杉栄の自由恋愛は、勝手だなあと思う。自分がいろんな女と関係をもちたいだけじゃないか。
この二人が殺されず生を全うしていたら、日本はどうなっていたのだろうか、と思わせる。
NHKでドラマ化したらしい。見たかったな。再放送ないかな。
『三人の女たちの抗えない欲望』 リサ・タッデオ 池田真紀子訳 早川書房
高校時代に恋愛関係にあった教師を、性的虐待で告発する大学生マギー。レストラン・オーナーとして成功しつつも、夫に従い、第三者を交えた乱交生活を送るスローン。性暴力のトラウマに苦しむ一方、SNSを通じて再会した初恋の相手とのダブル不倫に陥る、二児の母リナ。3人の女性たちの欲望と、抑圧からくる苦悩を丹念に取材したノンフィクション。
性愛描写が結構あるので、それが苦手な人は注意。
表題がなあ。欲望にまみれたような表題だが、主人公たちは過去に性被害を受けたり、家族に人格を受け入れてもらえなかったりしている。私は、それがトラウマになっていると思うのだが、この表題では抑えきれず噴出した性欲という感じがするから「違う」と思う。
教師を告発したマギーは、裁判で負ける。教師は、今も教師をしている。マギーは、様々な人に裏切られ、精神的にまいっている。加害者が普通に生活をし、被害者が二重三重にも苦しめられている姿が辛い。
『サワー・ハート』 ジェニー・ザン 小澤身和子訳 河出書房新社
毎朝起きるとゴキブリまみれ、残飯を求めゴミ箱に飛び込む──。注目のアジア系アメリカ作家が描く、上海からニューヨークへ移住した極貧一家で育つ少女のダークでコミカルな連作短編集。
短編がある場所で共同生活した人でつながっているのがおもしろい。
文化大革命で暴走する子どもたちが怖かった。
なぜか読みにくく、頭に全然はいってこなかった。
『本心』 平野啓一郎 文藝春秋
「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。母の友人だった女性、かつて交際関係にあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る――。
主人公は、他人に自分の体を貸して命令通りに動く「リアル・アバター」という仕事をしており、母そっくりに作ったヴァーチャルフィギャアがAIで学習して、なんたらかんたら。前半は、まったくついていけてなかった。しかし、主人公がコンビニで働く外国人が理不尽に責められているところを助け、それを隠し撮りした動画がバズるところから俄然おもしろくなってきた。
ちょっと様々な問題を盛り過ぎた感はあるかな。でも、ラストは希望が見えてよかった。