ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
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『生皮』『田中敦子と具体美術協会』

2023-07-04 23:24:36 | 
『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』 井上荒野 朝日新聞出版
 動物病院の看護師で、物を書くことが好きな九重咲歩は、小説講座の人気講師・月島光一から才能の萌芽を認められ、教室内で特別扱いされていた。しかし月島による咲歩への執着はエスカレートし、肉体関係を迫るほどにまで歪んでいく--。7年後、何人もの受講生を作家デビューさせた月島は教え子たちから慕われ、マスコミからも注目を浴びはじめるなか、咲歩はみずからの性被害を告発する決意をする。
 表紙が素晴らしい。表紙が本の中身を豊かに表していると思う。
 7年前の性被害に今も苦しんでいる被害者。嫌なことを自分に言い聞かせて、丸く収めようとする姿が辛い。それに比べて加害者が能天気なのがやり切れない。そして、加害者が悪くないと擁護する信奉者たちには、あーあという感じ。なんともリアルである。そして、咲歩に続いて月島を告発した小説家の言葉がすべてを現わしている。

『田中敦子と具体美術協会 金山明および吉原治良との関係から読み解く』 加藤瑞穂 大阪大学出版
 大阪および阪神間を活動拠点とした具体美術協会(略称:具体、1954〜1972年)は、第二次世界大戦後の美術史において、日本のみならず世界的な視野に立っても重要な位置を占める前衛的な美術グループである。本書はその主要メンバーの一人である田中敦子(1932〜2005年)に関する初の研究書である。田中作品の独創性を考察するとともに、具体のリーダーである吉原治良やメンバーの金山明との関わりの中で、その特質がいかに形成されたかを明らかにする。
 私には、難しかった。飛ばし読みをした。結局、下世話な私が読んだのは、田中敦子さんの夫が金山明、田中敦子さんは具体美術協会での吉原治良との関係が悪くなり、具体美術協会を退会し、精神を病んだということ。すぐ上から塗れるように乾くのに時間のかかる油絵の具を使わなかったこと。
 しかし、芦屋公園で作品の展示をしたりしていたんだ。見たかったな。きらめくような作家たちが集った具体美術協会、すごいよ。
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