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☆第293話『汚れなき殺人者』
(1978.3.10.OA/脚本=中村勝行/監督=竹林 進)
ある夜、ボス(石原裕次郎)が帰宅すると、同じマンションの階下にある喫茶店で働く真弓(坪田直子)が、部屋の前で待ってました。もちろんチョー生真面目番組『太陽にほえろ!』ですから「今夜、抱いて下さい」とは言いません。
「係長さんを待ってたの。私を、逮捕して下さい」
「逮捕?」
「人を、殺しちゃったんです」
そう言って真弓は改造拳銃を差し出します。
聞くと、川原で大沢 宏(みやけみつる)という男友達と改造拳銃で遊んでる内、真弓がそれを暴発させてしまい、弾丸を食らった宏は川へと転落したらしい。
「不思議ちゃん」のムード漂う真弓は地方から上京したばかりで友達がいないらしく、駅の伝言板にアテもなく「宏君、四時に西口公園の噴水の前で待ってます。真弓」と何度か書いてる内、本当に宏を名乗る男が現れ、仲良くなったという。
ところが、現場の川原をいくら探しても遺体は見つからず、残っていた血痕も致命傷を負ったほどの量とは思えない。周辺の住民にも該当する人物は見当たらず、刑事たちは「大沢宏という男は架空の人物なんじゃないか?」と、相手が不思議ちゃんだけに疑念を抱きます。
しかし、彼女がボスを騙して何のメリットがあるというのか? ただのイタズラとは思えないボスが真弓の周辺を聞き込むと、彼女が若い男と一緒にいる姿を目撃した人物が何人か見つかります。
「もし彼女の言ってることが本当だとすれば……」
この件には何か裏がある。そう睨んだボスは、真弓の記憶を元に「大沢宏」のモンタージュ写真を作成し、部下たちに捜索させます。
すると、そっくりな男が「大崎」という名前でアパートを借りてることが判明。その部屋には名古屋市内でしか配られてない日めくりカレンダーが残っていた。
さらに、同じ男が喫茶店にバッグを置き忘れてることも判り、その中にあった手帳には「石山浩一」という名前が。
おそらく大沢も大崎も偽名で、その正体は名古屋出身の石山浩一。それを手掛かりに、刑事たちは男の行方を探っていきます。
一方、真弓は拾った子犬をアパートで飼わせてもらえず、引っ越しを余儀なくされちゃいます。
「都会の野良犬って、かわいそう。ひとりでエサを探すことも出来ないし、どっかの軒下で寒さに震えてる。気の合う友達もいない……寂しかったのよね」
ピュアで気が優しく、可哀想な子犬を放っておけない真弓を見て、ボスは事件の本質をおぼろげに悟ります。
「真弓くん。もしキミが、間違ってその犬を殺してしまったら、悲しむだろうな」
「え……」
「いや、例えばの話だ」
「…………」
さて、名古屋まで足を伸ばしたゴリさん(竜 雷太)が、地元の信用金庫で二人組の賊による強盗事件が起こった直後に、石山浩一が消息を絶ってる事実を掴んで帰って来ます。
賊の1人は身元が割れており、名前はマッドポリスと一文字違いの「片桐清次」。片桐は東京にいる女に連絡を取っており、上京して潜伏している可能性が高い。もし石山浩一が生きていて、強盗の共犯者だとすれば、必ず片桐と接触する筈。刑事たちは片桐の行方を探します。
するとその日の深夜、派手な交通事故が発生します。塀に突っ込んで爆発したその車はレンタカーで、借りた人間の名義はなんと石山浩一!
つまり、少なくとも事故の直前まで石山は生きていた。真弓の話はやっぱり、全部デタラメだったのか?
「そんな! 彼は私が……じゃあ、死体を見せて下さい」
「見ても分からんよ。死体は黒焦げだ」
「それなら、彼だという証拠は何もないわ。あるワケないじゃない、彼は私が殺したんだから」
あくまでも自分が「大沢宏」を撃ち殺したと言い張る真弓ですが、ボスは彼女の嘘を確信します。しかしなぜ、彼女がそんな嘘をつく必要があるのか?
ボスは事故現場の写真をよく見て、黒焦げの遺体が腕時計を右腕に着けている点に注目します。
「この男、左利きかも知れん」
そして石山の部屋にあった日めくりカレンダーは、ページが左から右に破かれている。これはすなわち、右利きの破り方。
「死体は別人だぞ」
ボスは、死体の正体が片桐清次であることを見破ります。石山はやはり片桐の共犯者で、信用金庫から奪った金を持ち逃げし、片桐からも警察からも追われないよう自分自身の存在を抹殺しようと考えた。
そんな時に駅の伝言板を見て、石山は大沢宏を名乗って真弓に近づいた。真弓は、そんなヒロシに騙されて、偽装殺人に利用されたんだとボスは推理します。
そして自分が生きていることを警察に見破られたと悟った石山は、片桐を殺してその死体を自分の身代わりにした。となると、次に殺されるのは……!
ボスは令状を取って真弓の部屋を捜索し、男物のボストンバッグを見つけます。その中身は、石山と片桐が信用金庫から奪った現金。用心深い石山は、中身を告げず真弓に預けていたのでした。
「今度こそ本当のこと、話してくれるね」
「本当のことって?」
「全てさ。なぜ大沢を……いや、石山のような悪党を庇ったりしたんだ」
真弓は、趣味で描いてるスケッチブックを開き、ボスに見せます。そこには、例の拾い犬が描かれてました。
「係長さん、これ……ノラの顔。似てるでしょ、彼に。頼りなげで、寂しそうで……彼は、悪党なんかじゃないんです」
「ヤツは哀れな野良犬なんかじゃない。凶悪で卑劣で、薄汚いどぶねずみだ」
ボスは駅の伝言板を使って、真弓に石山を呼び出させます。石山が実は生きていることを知ってるのは、真弓だけ。案の定、現れた石山は真弓を殺そうとします。
「石山! それまでだ」
ゴリさん、ボン(宮内 淳)、ロッキー(木之元 亮)という大男3人に追い詰められ、フルボッコにされる石山を、真弓はただボーゼンと見つめるのでした。
「……ごめんなさい」
「なにが?」
「係長さんを騙しちゃって……私、どうすればいいんですか? これから……」
「どうもしなくていいんだ。今までのキミでいればいいんだよ」
本来なら偽証罪に問わなきゃいけないところだけど、ボスは彼女のピュアさを大事にしたかったのでしょう。
後日、真弓の様子が気になって喫茶店を訪れたボスは、すっかり元気になった彼女とこんな会話を交わします。
「あ、そうそう。今度の日曜日、私とデートして下さる?」
「デート?」
「私、係長さんのこと好きになっちゃった」
「えっ……あ、ありがとう」
最後まで不思議ちゃんに振り回されっぱなしの可愛いボスなのでしたw
粗筋だけ読むとリアリティーの無い話に感じられるかも知れないけど、真弓を演じる坪田直子さんの不思議ちゃんっぷりには説得力があり、底抜けのピュアさには心惹かれるものがあります。
坪田さんは当時22歳。東京キッドブラザースで注目された女優さんで、'76年の連ドラ『気まぐれ天使』ではヒロインを演じられました。
『太陽にほえろ!』は第214話『奇妙な友達』以来2度目のゲスト出演。後に第366話『真夜中の殺意』、第649話『ラストダンス』にもご登場。Wikipediaに記載されてるフィルモグラフィーによると、どうやらその『ラストダンス』が文字通り最後に出演された映像作品みたいです。
たぶん舞台をメインに据えておられたのでしょう、ドラマ出演はそう多くなく、刑事物のゲストは『七人の刑事』が1回、『特捜最前線』が2回あるだけで、4回も出られた『太陽~』とは縁が深かったと言えましょう。
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