
2021年に公開されたホラー映画のDVDを2本、観ました。どちらも面白く、共通点も沢山あるんだけど、観た感触がそれぞれ全然違うんですよね!
是非とも皆さんにオススメしたい作品は後回しにしてw、ホラー好きの方、それも変化球をお求めの方にだけオススメの作品から、先にご紹介します。
なお、これはネタバレ抜きじゃ語りようのない映画なので、手短にだけど浜村淳します。(つまり結末まで言っちゃいます)
『Saw』『死霊館』『アクアマン』等で知られるジェームズ・ワン監督による作品です。
妊娠中のヒロイン=マディソン(アナベル・ウォーリス)がDV夫の暴力により後頭部を強打した直後、彼女の目前でそのDV夫が惨殺され、彼女自身も気絶して流産しちゃいます。
それをきっかけに、マディソンは同じ犯人による連続殺人を夢(幻覚?)で見るようになるんだけど、それらが全て現実で起こってしまい、警察から最有力容疑者としてマークされちゃいます。
で、捜査が進むにつれ、マディソンが幼少期に「ガブリエル」という架空の弟(?)とよく会話してたこと、そして彼女がガブリエルを犯人だと思ってることも判って来ます。
ということは、犯人はマディソン自身(の中にいる別人格)なのか? つまりこれはサイコ・スリラー?
もしそうなら、似たような話は五万とありますから「変化球」だなんて書かないし、わざわざここでレビューもしません。当然、予想の斜め上をいく真相が待ってるワケです。
さて、犯人の正体はいったい何なのか? ヒントは「マリグナント」っていうタイトルの意味(悪性の○○)と、私のフェイバリット漫画である『ブラック・ジャック』にあります。(以下よりネタバレ)
そう、ピノコですよピノコ! 犯人は、ピノコみたいなやつ。えっ、ピンと来ませんか?
私は観てすぐに「これってピノコやん!」って思ったのに、いくつか読んだレビューでは『ブラック・ジャック』のブの字も出て来ない。なぜ?(追記:over-the-magicさんはチラッと書かれてましたね)
ホラー映画は若い人向けだから『ブラック・ジャック』はもう通じないと判断された? いや、ブラック・ジャックやピノコは知ってても、ピノコがどうやって生まれたキャラクターなのかは、昭和世代でも知らない人が多いのかも?
ピノコは元々、とある女性の身体にくっついた「畸形嚢腫(きけいのうしゅ)」でした。
畸形嚢腫ってのは、双子で生まれて来るはずだった1人の身体の一部が、もう1人の体内に包まれて(腫れ物みたいな状態で)生まれたもの。
ふつうは切り取られて処分されるんだけど、その畸形嚢腫が発する呪いの念波により誰も手が出せない。そこで天才外科医ブラック・ジャックは、畸形嚢腫に「私はキミを殺したりはしない」と言って眠らせ、女性から切り離したあと、合成繊維で足りない部位を補って、約束どおり人間に仕立て上げた。それがピノコ。
「ガブリエル」の場合、マディソンと後頭部が(つまり脳も)繋がってたのを切り離され、セオリー通り殺処分されたんだけど、マディソンの脳に残ってた僅かな破片が、後頭部を強打したことにより覚醒し、一時的に彼女の身体を乗っ取って殺人を犯してたワケです。
こうして説明するとメチャクチャな話だけどw、そこに説得力を持たせるのが映画作家の腕の見せどころ。ピノコだってメチャクチャだけど、ちゃんと皆に愛されるキャラになってましたよね。
創り手が『ブラック・ジャック』からヒントを得たかどうかは知る由もないけど、生まれた経緯も凶暴な性格もピノコによく似てるのは確か。
だから、殺人モンスターでありながら妙に憎めない。最初に殺したのはヒロインに酷い暴力を振るったDV夫だし、その後の連続殺人もガブリエルを殺処分した医者や学者たちへの復讐だから、情状酌量の余地がある。
クライマックスに至っては、女子刑務所に放り込まれたマディソンを理不尽にリンチする女囚たちが相手だから、気がつけば「行けーっ、ぶっ殺せーっ!!」って応援しちゃってる自分がいる。動きがまたシャープでカッコいいんですよ! こんなホラー映画、初めて観ましたw
だから、これはホラーというより新種のダークヒーロー物かも知れません。すっかりネタをバラしちゃったけど、新鮮な娯楽映画をお求めの方にオススメしときます。
ストーリーは実は古典的なのかも知れないけど、すごく新しい映画を観せられた感覚がありましたよね。ハリウッドの底力を感じます。
今まで記事があること気づきませんでした。しかも、自分の名前を出してもらったようで恐縮です。
ハリソンのブログで名前を出してもらうこと、実は夢だったのでめちゃくちゃ嬉しいです。
ありがとうございました!
ひとつの伝統的なネタとも言えそうです。
と言っても、その漫画の主人公は、乗っ取られると嬉々としてエ〇行為に走るというだけで、人を殺めたりはしませんが…
似たようなネタ、古くは横溝御大の「人面瘡」あたりでしょうかね…
必死に救おうとするBJの親心と、娘じゃなくて妻だと言い張るピノコとの関係にほのぼのしたもんです。
バオーはタイトルだけしか知りませんでした。そういう内容だったんですね。日本のコミックはいろんな国のエンタメに影響を与えてそうですね。
ピノコの姉はオカメのお面を付けていました。「顔を見られたくないんだな」「さる高貴なお方で…」
ピノコが血液のガンか何かに冒されて、カニ先生を突き止めて"高貴な姉"に輸血を協力してもらう話もありしたね。
BJはバンダイが隆大介主演で実写化した物がありまして、ピノコのくだりもありました。結構好きです。
「バオー」は生物を凶暴化(兵器化)する寄生虫で、生物兵器にされる少年の話でした。生命の危機を感じると脳に寄生したバオーが目覚め…怪力、撃たれても死なない、足を切断されてもくっつくなど、不死身の人間凶器と化します。
バオー・メルテッディン・パルム・フェノメノン(手の平から出る特殊な液で相手を溶かす)など、必殺技の名前が格好良かったです。
横から失礼しました。
もちろんピノコにも元ネタがあるのかも知れないけど、畸形嚢腫をあんな魅力的なキャラクターに仕立てた手塚治虫さんは、やっぱり凄い! 『地球の悪魔』、機会があれば読んでみます。
地球の悪魔というのがあって
これは脳腫瘍による2重人格を扱ったものです
面白いので未読でしたらぜひ
それと、この監督
この映画以前にMalignant Manという
グラフィックのベルがあるようですね
これは脳のガンが実は寄生虫で・・・
バオー来訪者やんけ!!