ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ランボー/ラスト・ブラッド』

2020-06-30 00:05:09 | 外国映画









 
観て来ました。2020年6月現在公開中の、エイドリアン・グランバーグ監督によるアメリカ映画です。エイドリアアア~ン!

言わずと知れたシルベスター・スタローンの『ロッキー』と並ぶ代表作『ランボー』のシリーズ第5弾にして完結編(?)となります。

(?)と書いたのは2008年に公開された第4弾『ランボー/最後の戦場』も完結編と謳われてたからで、その前年に完結した筈の『ロッキー』シリーズも『クリード』シリーズとして再開してるし、全く信用できませんw

とはいえ、今回は本国アメリカを舞台にしたシリーズ第1弾=原題『ファースト・ブラッド』に呼応したような内容とタイトルになっており、エンドクレジットではシリーズ全作の名場面も流れるし、これでまた復活したらさすがにファンも怒るでしょうw(それでも観るだろうけど)

さて今回は、故郷のアリゾナに帰って人命救助を手伝う「スーパー・ボランティアおじさん」になったジョン・ランボーが、古い友人である女性とその孫娘=ガブリエラ(イベット・モンレアル)と3人で同居し、平穏に暮らしてたんだけど、実の父親を探してメキシコに出かけたガブリエラが人身売買カルテルに拉致されてしまう。

ガブリエラを実の娘(孫?)みたいに愛してるランボーは当然、独りでメキシコに乗り込み、元グリーンベレーすなわち殺人マシーンとしてのスキルを存分に活かして大暴れ……するのかと思いきや!(以下、ネタバレになるので鑑賞予定の方は読まないで下さい)



そのままランボーが大暴れして無事にガブリエラを救出したら、単なるスタローン版『96時間』になっちゃいます。やはり元殺人マシーンのお父さん(リーアム・ニーソン)が独りで異国に乗り込んで愛娘を救出し、満開のハーピーエンドで幕を下ろす『96時間』が私は大好きなんだけど、現実にはいくらなんでも不可能であり、あくまでファンタジーとして観なきゃならない「ご都合主義」は認めざるを得ません。

元殺人マシーンの覚醒を描いたアクション映画の始祖として、スタローン先生はそれが見過ごせなかったんじゃないでしょうか? ヒーローが最後まで死なないのは良いとしても、あれだけの大量殺戮を犯しながら100%ハーピーエンドってのは、いくらなんでも能天気過ぎやしないかい?って。

どの口が言うねん?って思われるかも知れないけど、振り返れば『ランボー』シリーズはいつもほろ苦い後味を残してるんですよね。国に裏切られ、使い捨てにされ、常にどうしょうもなく孤独で。(3作目『怒りアフガン』のみ能天気だったけど、あれは時代の空気がそうさせたんでしょう)

だから本作『ラスト・ブラッド』も決して明るい映画じゃないし、『96時間』や先日レビューした『ライリー・ノース/復讐の女神』みたいに全てが観客の望み通りに展開したりはしません。

今回、ランボーは敵の正体を知らないまま、拳銃1丁とナイフ1本しか持たずにメキシコへ乗り込んでます。つまり油断してた。しかも殺人マシーンとしては10年以上のブランクがありますから、咄嗟には反応出来ないワケです。

結果は惨敗。ランボー自身はカルテルをマークしてた女性ジャーナリスト=カルメン(パス・ベガ)に命を救われたものの、ガブリエラは顔を傷物にされ麻薬浸けにされチョメチョメされまくった挙げ句に……

ようやく手にした人間らしい生活と愛する人を奪われたランボーは、当然のごとく復讐準備を始めるんだけど、カルメンに言われます。

「復讐なんかしたって何も取り戻せない。やめて前へ進むべきよ」

そしたらランボーがこう返すんですよね。

「やめたところで前へなんか進めるもんか」

その通り! 私はここで思いっきり共感し、いよいよランボーと一体化してこの映画を堪能することが出来ました。私がアメリカ映画を好む理由が、このランボーの台詞に集約されてます。

日本のメジャー映画やTVドラマは、カルメンが言った「復讐してもただ虚しいだけ」っていう考え方に同調しがちで、大抵は諦めてしまう。だからスッキリしない!面白くない!その代表格が『太陽にほえろ!』ですよ!w

確かに復讐したって失ったものは取り戻せないけど、どっちに転ぼうが前へなんか進めやしませんよ、ここまで悲惨な眼に遭えば。

だったら、やられた事はやり返すべきです。もちろん「倍返し」で! 思い知らせてやらなきゃダメですよ、ほっときゃまた犠牲者が出るんだから!

こうして覚醒したランボーはもう、手のつけようがありません。皆さんご存知の通りです。

まず、再びメキシコ入りしたランボーは、カルテルのボスの弟を惨殺し、首チョンパした死体にガブリエラの写真を貼り付け、そいつの生首をアリゾナへの帰り道でポイ捨てします。そう、数々のデストラップを仕掛けた自宅に敵を誘い込むために。これもまた、ベトナムのジャングルに似た密林に警察と軍隊を誘い込んだ1作目のランボーと同じやり方です。

後はもう、皆さんご想像の通り……と言いたいところだけど、その想像を遥かに超えた大残虐絵巻が待ってます。前作『最後の戦場』も凄かったけど、今回のランボーは完全に私怨で動いてますから、その比じゃありません。

これまで色んなアクション映画を観て来たけど、主役のヒーローが敵の鎖骨をへし折って拷問したり、心臓を掴み出してポイ捨てしちゃうような場面は観たことありません。この辺りもまた、『96時間』を観て喜んでる我々に対して「甘っちょろいんだよ!」「暴力ってのはこういうものなんだよ!」って、スタローン先生が仰ってるように私は感じました。

もちろん、行き着く先に待ってるのは、カルメンが言ってた通り底無しの虚しさなんだけど、もしかしたらランボー自身は、10数年ぶりに生き返れたような充実感に満ちてるのかも知れません。当然、続きを創ろうと思えばいくらでも創れますw

決してスッキリはしません。結局、殺人マシーンは殺人マシーンとしてしか生きて行けない。そんな哀しさが滲んだ本作は、スタローン版『96時間』というよりスタローン版『許されざる者』だなと、私は思いました。

だけど納得出来るんですよね。復讐を諦めちゃう日本映画でいつも強いられる消化不良は、微塵も残りません。

こういうのを政治の話と結びつけるのはナンセンスだと思います。あくまで映画の話です。ただ、私がもしランボーと同じ眼に遭ったら、間違いなく復讐の道をひた走るであろうことは明言しておきます。だから、どうかそっとしといて下さい。

セクシーショットはカルメン役のパス・ベガさんです。
 


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