『大都会25時』1987

　
1987年の４月から９月まで、全23話が放映された刑事ドラマ。テレビ朝日系列の水曜夜９時枠で、２大長寿番組『特捜最前線』から（『ベイシティ刑事』を挟んで）『はぐれ刑事純情派』への橋渡しとなった作品です。

テレ朝の水曜夜９時と言えば、現在も『相棒』を柱に刑事物が続いてる枠です。当時いくつか存在した「伝統の刑事ドラマ枠」の中で唯一、数字が落ちてもバラエティー番組にチェンジする等の「逃げ」に走らなかった素晴らしい放映枠です。

『大都会25時』は東京・千草警察署刑事課の捜査を描くヒューマンドラマなんだけど、性質の違う２つのチームが検挙率を競いながら同じ事件を追うという、一風変わった構成になってました。

安達警部補（小野寺 昭）率いるハミダシ系の人情派チーム＝安達班（第２係）のメンバーが、山下真司、大和田 獏、真梨邑ケイ、塩野谷正幸、湯江健幸。

一方、仙川警部補（平田 満）率いるエリート系の点取り虫チーム（第１係）が、菊地太、きくち英一、重松 収、伊藤克信、古藤芳治といったメンツ。

その２班を束ねる坂東警部＝課長に扮したのが「ひっじょーにキビシーっ!!」「電話してーチョーダイっ!!」でお馴染みの、財津一郎さん。タケモトピアノのＣMはあと何十年、あのまま放映され続けて行くんでしょうか？

財津さんも好きなんだけど、私がこの番組をよく観てたのは、小野寺昭さんと山下真司さんがキャストの中心におられたから。『太陽にほえろ！』の殿下とスニーカーですね。（このお２人は『太陽～』出演当時から特に仲が良かったんだそうです）

’87年は『太陽にほえろ！』が（パート２も含めて）放映を終了した年で、それを待ってたのか偶然なのか判らないけど、やたら『太陽～』ＯＢが新しい刑事ドラマに起用されるのが目立った年でした。

ゴリさん（竜 雷太）、テキサス（勝野 洋）、ＤＪ（西山浩司）は『ジャングル』に、ボギー（世良公則）は『ベイシティ刑事』に、トシさん（地井武男）は『少女コマンドーIZUMI』に（刑事物じゃないけど刑事役で）といった具合です。

その中で『大都会25時』は、『ジャングル』ほど鳴り物入りでもなく『ベイシティ刑事』ほどアクティブでもなく『少女コマンドーIZUMI』ほど異色でもなく、いちばん影が薄かったかも知れません。

メンバーも正直、地味でしたね。テレビの視聴者が女性中心となり、その嗜好の対象がどんどん低年齢化（アイドル化）してた時期ですから、小野寺さんや山下さんだと吸引力が弱かった事と思います。

唯一の若い男子が湯江健幸って人なんだけど、ハンサムともワイルドとも言えない、失礼ながら中途半端な個性でした。我々男の視聴者から観れば、チャラい若造が紛れ込んでるようにしか見えなかったし……

この辺りから、刑事ドラマに出てくる若手刑事がどんどんチャラくなって来た気がします。観てる自分が彼らより歳上になっちゃったせいもあるけど、ショーケンさんや優作さんは歳上から見てもチャラいとは感じなかった筈です。

そんなワケで視聴率は伸び悩み、２班対立の構図が徐々に緩くなって、ノーマルな刑事ドラマの作劇へとシフトして行く事になります。

『ジャングル』も『スーパーポリス』も『誇りの報酬』も『あきれた刑事』も『ゴリラ』も、こぞって新機軸がウケないと見るや、同じようにスタンダード化への道を歩んで行きました。逆に、もっとユニークなアイデアやキャスティングでテコ入れした番組って、ほとんど皆無ですよね？　数字が振るわないと必ずと言っていい程、スタンダードな形に戻そうとしちゃう。

テレビの視聴者って、そんなに保守的なもんでしょうか？　創り手側がそう思い込んでるだけじゃないかと私は思います。だって、内容をスタンダード化したら視聴率が上がった！なんて話は聞いたこと無いですからね。

まぁ、大金が動くビジネスである以上、成績が振るわないと冒険させてもらえないのは当たり前かも知れません。創作でメシを食うっていうのは、そういう事なんですよねぇ……

話がどんどん『大都会25時』から離れて行ってますけど、細かい部分がほとんど記憶に無いもんで申し訳ありませんm(_ _)m

ただ、地味なメンバーながらクオリティーは高く、けっこう楽しんで観てた記憶は残ってます。さすが『特捜～』や『はぐれ～』『相棒』を生み出して来た放映枠です。

あ、SHOWーYAさんが唄う主題歌『水の中の逃亡者』はよく憶えてます。歌詞入りの曲をオープニングに使った番組って、刑事物では珍しいですから。

『大都会25時』の後番組が『ベイシティ刑事』で、その次にいよいよ『はぐれ刑事純情派』が登場する事になります。私はあんまり観てなかったけどw　キビシーっ!!