☆第73話『真夜中に愛の歌を』
(1973.12.7.OA/脚本=小川 英&中野顕彰/監督=竹林 進)
深夜ラジオの人気DJ=M.M.こと牧恵美子(森みつる)の番組に、リスナーからの脅迫めいたリクエスト電話が入り、たまたま放送を聴いてたゴリさん(竜 雷太)が捜査を始めます。
やがて、電話の主はミュージシャン志望の若者=植村(堀内正美)である事が判明。M.M.が作詞し、大物作曲家=マイケル中江(渥美国泰)が作曲したとされる大ヒット曲は、実は植村が創った曲だった!
メジャーデビューという餌に釣られ、植村はマイケルのゴーストライターとして利用されていた。それを告発しようにも証拠が無く、せめてもの抵抗がラジオの生放送への脅迫電話だったワケです。
そして翌日、マイケル中江が鈍器で殴られ、重傷を負います。犯人は、M.M.の付き人=洋子(中田喜子)。植村に想いを寄せる洋子は、盗作の証拠となる楽譜を盗もうとしてマイケルに発見され、揉み合った末に弾みで殴ってしまったのでした。
洋子に罪を犯させてしまった自責の念から、いよいよ自暴自棄になった植村は、マイケルの共犯者であるM.M.の生命を狙うのですが……
「騙される事がどうして恥ずかしいんだ? どうして人を殺さなきゃいけないほど悔しい事なんだ!?」
植村に同情しながらも……いや、だからこそ、ゴリさんは必死の想いで犯行を阻止します。
「人を信じる事は若者の特権だ。俺はそう思ってる。俺は……俺みたいなお人好しは、そう信じなきゃ生きて来れなかったんだ!」
人を騙すくらいなら、騙される方がずっといい……『太陽にほえろ!』が一貫して説いて来た人生訓だけど、卑劣な詐欺事件が後を絶たない現在では、綺麗事にしか聞こえないかも知れません。
それでも、『太陽』はじめ昭和のドラマを観て育った私は、騙すよりも騙される側の人間でありたいと今も思ってます。金はビタ一文やらないけどw
当時流行りつつあった深夜ラジオ放送に盗作問題を絡ませ、芸能界の泥沼に嵌まった若い男女の悲恋を描いた本エピソードは、主役のゴリさんが傍観者に過ぎない点から見ても異色作と言えましょう。
洋子を演じた中田喜子さん(当時20歳)がとにかく可愛くて、萌えますw NHK『連想ゲーム』の紅組キャプテンや朝ドラ『春よ、来い』の主役、長寿ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の文子役などで知られる女優さんです。
『太陽』では後に殿下(小野寺昭)の妹=島 京子としてセミレギュラー出演、第194話『兄妹』では再び堀内正美さんと共演される事になります。
その『兄妹』における堀内さんの役どころは、京子に片想いした挙げ句にバスジャックまでやらかしちゃうストーカー。第417話『ボスの誕生日』ではスニーカー(山下真司)を恨んで直子(友 直子)を拉致するストーカー、第690話『私が七曲署の藤堂だ』ではボス(石原裕次郎)に付きまとうストーカーとw、屈折した逆ギレ男の役がやたら多い堀内さん。ナイスミドルになられた現在でも、朝ドラ『純と愛』等で屈折した逆ギレお父さんを見事に演じておられますw
ムーミン