古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

犬も人間もだんだん年寄りになっていきます。

2011年07月04日 04時53分07秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 5月20日のブログで、無事に飼い主の元に帰った犬のことをお伝えしました。その後はあの老犬も平穏な余生を送っているだろうと思っておりました。ところがきのうの朝、道子さんがウッドデッキであの犬の名前を呼んでいます。どうしたのでしょう。
 庭に出てみると、あの犬が、例の未練がましいような、うらめしいような、なつかしがるような目でこちらを振り返りながら、ゆっくり山のほうに上っていきます。泊りに来ていた大志くんのお母さんが「名前なんか呼んでなつかれたらどうするの!」と心配します。ご近所の奥さんも出てこられました。
「また逃げ出したんでしょうか」
「乞食は三日したらやめられんって言いますけど、あの自由が忘れられんのか」
「犬の認知症になって、徘徊してるんでしょうか。それとも何か事情があるのか……」
 いろいろ論評してからぼくにお鉢がまわってきました。
「前のとき飼い主さんから電話が掛かった番号があるでしょ。電話で報せてあげてよ」
 ぼくの責任でもないと思うんだけど、なんとなく気の重い任務です。でもあのときは飼い主さんがわざわざお礼に来られたし、いただいたクッキーとかは食べちゃったし……。
 耕運機を畑に持っていこうと歩いていると何かの気配を感じます。振り返るとあの犬がつかづはなれずついてきます。犬にしてみれば多少は気に掛けてもらっている人間だと思うのでしょうか。
 でも「可愛いな!」という親しみは小指の爪の先ほども起こりません。見るからに老いぼれの犬で、この前よりどこか病んでる眼つきで、足にも怪我しているみたいです。年寄りは、犬でも人間でもこんなふうに避けられる。自分の老いを鏡で見るようです。
 夕方畑仕事を終えて帰ろうとしたらまたあの犬が。軽トラのあとについて来ます。そこで川向いのお宅までお菓子を落としながら誘導しようとゆっくり走っていると、老人会のグランドゴルフをいっしょにしている女性が、声を掛けてくださいました。
「またあそこの犬が逃げたんやな。私が電話しといてあげるわ」
 夜、電話がありました。「あの犬はいま医者にかかっているのだけど、クスリを飲むのをいやがったり、庭を掘って掘って石灯籠を倒してしまったり……。連れ戻しに行きます。」だって。
 やれやれ、一件落着です。   
コメント
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