Zさんのブログの記事でちょいと興味深いものがありましたので、こちらでもネタにさせてもらいます。ちなみに、あくまで私の考えですので。先に断わっておきますが、私はプレミアもエスパニョーラも好きです。ってゆ~か、サッカー自体が好きですので誤解されぬようお願いします(あと、長いです)。
件の記事ではJの経営難からのJリーグのあり方を書かれておられます。昨年の大分トリニータを見てもそうですが、現在Jリーグは経営では浦和の1人勝ち状態。広告収入&入場料収入を見ると
浦和:50億(08年データ)
鹿島:23億(J1王者)
G大阪:23億(天皇杯覇者)
FC東京:20億(ナビスコカップ王者)
川崎23億(J1&ナビスコカップ2位)
と倍ぐらい違います。この要因としては、レッズの地域密着施策によるものが大きいと思われます。詳しくは
コチラ。元々、サッカーは町単位での競技でしたので、地域密着は当たり前のことなんです。特に、ドイツのブンデスリーガはそのお手本とも言える存在です。
んで、本題
Zさん視点では「プレミアを模範とすべき」と書かれていますが、これはどうかと。現在プレミアはUEFAランキング1位。国内外(主に外)のスター選手を集め、チャンピオンズリーグでもここ5年間はいずれかのクラブが決勝まで昇り詰めています。観客動員数もマンUが世界一。世界中で観戦されていますし人気も高く見た目は順風満帆です。が、
経営状態は問題が耐えません。
世界的不況が続く中、プレミアリーグは特に顕著に国外資本に頼っています。一説によればチェルシー1100億円、マンUで1080億円、リバプール・アーセナルも500億円の赤字とのこと。また、外国籍の選手が多い=多額の移籍金が必要。現在は高額の放映権料で補てんしていますが、現在活躍しているスター選手もいずれは移籍or引退が来ます。現在のレベルを維持するのも、いつまで続けられるかは分かりません。
対して、Jリーグが模範にしたブンデスリーガ(ドイツ)。70年代~80年代の長期に渡り、世界最高峰のリーグとされてきました。現在はUEFAランキングでも4位につけています。なぜJが模範にしたのでしょうか?
・多額の借金はできない健全経営
・リーグ観客平均動員数世界一(約4万人)
と言ったことに起因していると思います。ライセンス取得が欧州一難しいので、親会社に力が無ければ加盟できません。他の上位3ヶ国のクラブのように多額の借金はできませんので、
大物選手を獲得しにくいという要因もあります。
ではなぜそのようになったのか? 一つは80年代のセリエAの外国人枠解禁、そして95年の「ボスマン判決」以降の各国の外国人枠の実質的撤廃により、欧州内で国を越えての移籍は盛んに行われています。つまり、金がモノを言います。上位3リーグは多額の移籍金(借金)を用意し、スター選手を集めて集客に繋げています。逆にお金のないブンデスではどちらかと言えば国内の有望な若手を育てて、一流の選手に仕上げます。現在ではシュバインシュタイガーやポドルスキーがそうですかね。
そして移籍していくんですけど。
では「ブンデスは人気がないのか?」と言われますと
答えはノー。日本で知られてないだけです。以下のランキングをご覧ください。
1位:マンチェスター・ユナイテッド(イングランド) 75,304人
2位:ボルシア・ドルトムント(ドイツ) 74,748人
3位:バルセロナ(スペイン) 71,045人
4位:レアル・マドリー(スペイン) 70,816人
5位:バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) 69,000人
6位:シャルケ04(ドイツ) 61,442人
7位:アーセナル(イングランド) 60,040人
8位:ミラン(イタリア) 59,757人
9位:セルティック(スコットランド) 57,366人
10位:ハンブルガーSV(ドイツ) 54,811人
08-09のクラブ単位の平均観客動員数データですが、トップはマンU。プレミア勢を見ても1位と7位に入っています。
対して、ブンデス勢は2・5・6・10位と4つ。しかも、マンUとドルトムントの差は
わずかに556人(バルサとは3703人差)。人口を加味しますと、
イギリス(2クラブ+セルティック):6200万人
ドイツ(4クラブ):8200万人
スペイン(2クラブ):4500万人
こんな感じです。妥当と言えば妥当です(プレミアにはセルティックもプラス)。UEFAランキングでは1位がイングランド、2位がエスパニョーラ、4位にブンデスリーガとなっていますが、動員数の割合でいくとそこまでの差はありません。むしろ、スター選手の数を考えるとブンデスの集客率は圧倒的でしょう。・・・セリエA勢に関しては何も言いません・・・(イタリアの人口:6000万人)。
これらを踏まえて、W杯代表の結果(90年以降・5回分)にフィードバックしますと、
ドイツ(西ドイツ時代含む):優勝1回・準優勝1回・3位1回
イングランド:4位1回
ちなみに
イタリア:優勝1回・準優勝1回・3位1回
ブラジル:優勝2回・準優勝1回
フランス:優勝1回・準優勝1回
となります。この結果が全てではありませんが。外国人枠&金にモノを言わせた大型補強ができない→国内組が中心の編成で国代表の大会を勝ち抜くという点ではドイツは上手いことフィードバックできてると思います。逆にイングランドはやはり外国籍の選手が多いためか、今一つパッとせず。イタリアは勝ち組ですね(クラブ運営はボロボロだけど)。ブラジルとフランスは欧州のトップリーグへ選手の派遣という形でこの結果だと思われます。
長々と書きましたが、最終的に言いたいことは、Jはもう一度原点に戻りブンデスを見習ったクラブ運営をすべきだと考えます。クラブが健全に経営されていれば、選手たちも余計なことを考えずに済みます(経営状態の悪いクラブは即刻降格すべき)。フロント陣はブンデスを模範にしつつ、リーグ・アン(世界一の育成リーグ)あたりも加味して、
欧州リーグへ旅立たせるための育成リーグを現在は取るのが良いかと思います。いずれ、欧州で研鑽した世代が監督や指導者になって、Jに還元すれば日本サッカーは発展すると思われますね。まぁ、現在プレミアがトップであることはゆるぎない真実であり、日本がこれをやり遂げるには10年はかかるでしょうけど。