近所に住む「郷土料理名人」から電話がかかってきた。
名人:「甘酒、作ったんやけど、飲んでくれるかどうか聞いてからと思って・・・」
自分:「大好き。ときどき、買って来たりしてる」
名人:「良かった。後で、持って行かよ」
おばあちゃんに持って来てもらうのは気の毒なので、「もらいに行く」と言ったが、「いや、持って行かせてもらう」と。
・・・・・郷土料理名人・・・・・
この80代半ばのおばあちゃんは、郷土料理の「なれ寿司」「早寿司」作りが上手なだけでなく、「アセの葉」を巻く手際の良さも圧巻。今もなお、郷土料理店から頼まれて仕事に行ってる現役の料理職人。
昔から金山寺味噌も作っていて、毎年のように持って来てくれる。米麹を発酵させる甘酒作りなんて、金山寺味噌作りからすればチョチョイのチョイだったのかも知れない。
地区の青春クラブの副会長をしてくれていて、クラブサークル「郷土料理の会」の責任者でもある。「早寿司」や「金山寺味噌」作りの秘訣を教わった人も多い。
そのサークル時、自分も材料の買い出しをお手伝いしたり、その様子をみさせてもらったりしたので、腕前は未知数だが知識だけはある。
そんなこんなで、「郷土料理名人」と呼ばせてもらったりしている。
・・・・・愛車はシルバーカー(手押し車)・・・・・
しばらくすると、杖代わりになるし、荷物も入るし、疲れれば座って一休みもできる愛車のシルバーカーで来てくれた。
「これ」と言って、愛車の荷物入れから容器に入った「パック」を渡してくれた。一瞬、「これって甘酒?」と思った。キョトンとした。甘酒というから、てっきり瓶か何かに入った液体だとばかり思っていた・・・
どうしたらいいかが分からなかったので、「コレッ、どうやって飲むん?」と聞いてみた。
名人:「スプーンで掬ってコップに入れ、砂糖を入れ、水で薄めてから温めるんよ」
自分:「コップに、スプーン何杯ぐらい入れるん?」
名人:「スプーン1杯入れて、サラサラのお粥みたいになるくらいに薄めたらエエんよ」
サラサラのお粥? イメージがわいて来ない。ま、味見しながら薄めたらエエだけのことやし・・・ それ以上は聞けなかった。
・・・・・田舎のおばあちゃん・・・・・
高齢のおばあちゃんが、わざわざ電話で飲むかどうかを聞いてくれ、シルバーカーで届けてくれた心遣いに感謝するばかりだった。
「芋も柿もない」というので、我が家庭園芸の安納芋と富有柿をお渡しした。せめてもの感謝の気持ちだった。
近隣に親切なおばあちゃん・おばちゃんが一杯いるから、心地よい田舎暮らしができていると思っている。