hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Bloodchild

2015年04月08日 | 洋書
評判がよく人気のある作家の本がKindleで無料だった、という理由だけで買った短編小説でしたが、サッパリしているところが好みの作品でした。
SFは読み慣れていないのに加えて、特に長々とした背景に関する説明もないので、なかなかシチュエーションを把握するのに時間がかかりましたが、後半にはスーッと入ってきました。
セッティングは人間と人間以外の生物が共に暮らし、種の保存法も協力している話、とだけ書いておきましょうか。

作者は後書きで、奴隷制度について書いているという評論が多くて心外だと言っています。その他書評を読むところ、色々な解釈がされている作品のようです。
そうなんですよね、私は深読みをしたがる人が多くて、作家の手を離れていく作品が世の中に溢れていると思うんです。
そこを作家が静観していられるか、この作家のようにそうではないと言いたくなるかの違いはありますが、私はやっぱりあまりにも自分の意図するところと違う解釈をされたら辛いだろうなーと思います。感じ取り方は自由だけど、こうだ!と主張しすぎないでくれよ、と。
私の読み取りは、異なる者同士が共存し歩み寄ることと、そこから生まれる愛情と連帯感、ネガティブな面では運命に従うしかない切なさ、なんかがテーマであって、わざわざ political にもっていくこともないんじゃないかと。ましてや、黒人女性作家ということで奴隷問題に結びつけている時点で、それこそが差別なのではないでしょうかね?

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