hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Second Glance Audiobook

2015年11月08日 | 洋書
 前回の記事は、本編を聴き終わってすぐに書いたもので、とにかくキャラクターたちの悲劇の人物ぶった言動や自己中心的な態度が気に入らないということで、作品の評価も低くついたのですが、ストーリー的にはそう悪くはないんですよ、今更ですが。
 前回も書きましたが、テーマや取り上げている話題は興味深いですし、ドラマティックでスリリングなシーンもありますしツイストもあって、さすが Jodi Picoult 、上手い!って感じではあるんです。
 さて、前記事ではロスの悪口などで長くなったので書けなかったのですが、Audiobook がとても良かったので追記として今回も同作品について書こうと思います。

 ナレーターは年配の男性なのですが、すごく聴きやすくて惹きつけ力のある朗読でした。
 後からインタビューで話していることでもわかるのですが、とてもピュアなお方で、生死に関わるところなんかはもう興奮して目を見開いて唾を吐き散らかしながら読んでいる姿が想像できるくらいでした。
 オーディオブックの最後に、ナレーターと作者の対談がついていたのですが、それがとっても良かったんです。
 Jodi Picoult は写真で見る限りいかつい感じで気の強い生意気そうな感じで話すのかと思いきや、とてもかわいらしい声で話し方もすごく魅力的で、まぁものすごいおしゃべりなんですけどずっと聞いていても退屈しないくらい面白い。さすがストーリーテラー、聞き手の心をわしづかみにする能力に長けています。

 それで今作を書くにあたってゴーストハンターのところに体験しに行った話や大学の教授に遺伝子組み換え(ここでは eugenics project といって ethnic cleansing のこと)について教えてもらったりした話などや、それぞれのキャラクターについてどう考えているか、どういう意味合いで存在しているのか、などを細かく丁寧に説明していたり、どうしてこのようなストーリー展開にしたのか、など詳しく話していました。
 
 本編より断然面白い!

 この対談のほうがジーンと来たり声を出して笑ったりしました。
 朗読の素敵だったナレーターは聞き手としても素晴らしく、質問の内容も的を得ていますし(的を射るが正しい?)、とにかく素直。
 本当にこの本を楽しんだらしく、電車の中で読んでいて意外な展開に思わず「わー!!!」と声をもらしてしまったらしく、隣の人にびっくりされたとか。それに作者の意図したところを正確に読んでいた気がします、彼は(私と違って)。
 結論は、主人公ロスの性格を complicated but interesting person と思える懐の深い人はこの作品を楽しめる、私のように「なに自分だけが不幸な顔してんの?周りのことも少しは考えなさいよね!」と思う人は楽しめない、ということでしょう(笑)

 最後にハリウッドで映画化されるなんてことになったらどうする?という会話。
 作者はノリノリで、ロスにはジョニー・デップがぴったり!ぜひやって欲しい!と言っていました。うん、私も合っていると思う。
 そしたら、ナレーターが「僕にスペンサーかアズをやらせてくれない?」なんてちゃっかり立候補をしていました。かわいいなぁ。「その二人の役をするにはあなたちょっと若すぎるわ」とサラッと断られていましたけれど。

 とにかく、作品からも感じられる彼女の賢さは本物だということがわかった対談でした。
 この作品の後に書かれたのが「My Sister's Keeper」だったようです。今はこんなのを書いてるよ、と話していました。
 彼女の作品の一番の魅力は、読後に余韻が残り、誰かと内容や取り上げられた問題について話をしなければ気が済まなくなることではないでしょうか。ジョディも対談の中でぜひ周りの人と話してみて欲しい言っていましたし、ナレーターさんも「いや、本当だよ。俺も読み終わったすぐほかの人にこのテーマについて語らずにいられなかったよ」と言っていました。
 

 ちなみに私が彼女の作品で好きなのは「My Sister's Keeper」と「Perfect Match」がダントツです。どちらについてもいっぱい思うところがあって、あっちこっちで熱く語っていましたよ。今回この作品に関しては娘に Eugenic Projectの事実や歴史について語り意見を求めました。
  
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