hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

The Lowland

2017年06月18日 | 洋書
 あまりにも胸をしめつけられるような苦しい読書体験だったので感想はあまり書けそうもないです。
 私はあらすじに書いてあるような内容として読んだのではなく、子供の頃から愛されることを求め、自分の存在意義を模索し続けた一人の男性の物語として読んだので、ほぼ最後までその孤独感に押しつぶされそうになりました。
 愛情を求め、認められることを期待して生きていると、自然と自由奔放な人や自己中心的な人を引き寄せてしまうことって多いと思うんですよね。
 自分は一生真似はできないし枠からはみ出ることはできないから憧れるし、それと同時に嫉妬や憎しみのようなものも心の奥底にどうしても宿ってしまう。
 そんな気持ちを持つ自分が嫌で起こす行動は、結局は勝手な人たちに振り回されることになり、でもいつかは理解してもらえるかも、伝わるかもと期待して傷ついて、最後はシャットダウンすることでしか自分を守れないし救えない。
 本書には主な登場人物が数人いるけれど、私が個人的に主人公ととらえて読んだ人物は上に書いたインド人の兄弟の兄で、残りの全員が自分の気持ちが一番大切、自分の選ぶ生き方をしたい、でも孤独は嫌なので他人を巻き込むたいという人々。
 一つの家族の物語ではあるけれど、世の中の縮図のような人間模様を描いた作品です。

 7 out of 10
 
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