hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Heartburn

2022年12月18日 | 洋書
 どこかの書店の店員さんのポップアップの文に惹かれて買った作品。
 本当に本が好きなスタッフによる素敵な文面のポップアップがついているとついつい買ってしまいます。
 主人公レイチェルはどういうわけか最初の夫にも2番目の夫にも自分の友達と不倫をされるという運命の女性。
 そんな彼女の愚痴と自虐とユーモアたっぷりの物語を大女優メリル・ストリープがオーディオブックで語ります。
 もうFull of メリル・ストリープ!やり過ぎ感が半端なくて最初は「胸やけ」するのですが、あの人、素がなんかホントこんな感じのユーモアたっぷりでおしゃべり上手のおばさんでしょ?このキャラクターにピッタリなので、なんか途中から慣れてきて普段友達の話聞いてるのと同じ感覚になってきます。
 「夫に不倫された!」というので、彼女の家に話し相手になりに行ってみたら、現夫の不倫の話から、元夫の話に移り、そうこうしているうちに自分の生い立ちから両親の性格、家族ぐるみでお付き合いのある友人たち一人一人の話、ととりとめもなく延々と話は続き、散々聞いていたら4時間後に「そろそろ帰ってもらっていいかしら?」と追い帰された、みたいな感覚になった作品でした。読書したというよりは、ほんと友達の話を聞いてた感じで読了です。

 日常のちょっとしたエピソードを物語仕立てにして話す主人公。
 カウンセラーにどうしていちいち物語にして話さないと気が済まないわけ?と聞かれます。その時の主人公の応え。

 Because I tell the story, I control the version.
Because if I tell the story, I can make you laugh, and I would rather have you laugh at me than feel sorry for me.
Because if I tell the story, it doesn't hurt as much.
Because if I tell the story, I can get on with it.

 すごく共感。だからこそ、長かろうが要点を得ていなかろうが、相手の気が済むまでとことん話を聞いてあげるのが大事だと常日頃考えています。
 残念ながら私は黙って聞いてあげることはできず、途中ごちゃごちゃ口出ししたり必要とされていないアドバイスをしたがるので、相手として最適かはわかりませんが。
 先ほど最後に追い帰された、とは書きましたが、作品自体は主人公が一歩踏み出す気持ちの良い終わり方をしています。
 タイトルの「胸やけ」は主人公が料理本作家なのでお料理のレシピと彼女の心境をリンクさせた話の紡ぎ方がされているこの作品の構成からきていると思うのですが、その点に関しては他の読者さんにお任せしておきます。

 7 out of 10 

 絶対オーディオブックで聴くのがおすすめ。
 それにしても最近はドラマだけじゃなく、オーディオブックまでこんな大女優たちがやる時代になったのねー。
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