平成23年8月24日
北アルプスの鷲羽岳・水晶岳に行った。
鷲羽岳・水晶岳は、北アルプスでもさらに山深いところに位置し、100名山の中でも
難関(日数が必要)とされている。
しかし、ヤマレコで調べると日帰りの記録が多く報告されている。
皆18時間以内で達成している。
中にはトレランでとんでもなく早い人もいる。
実は、私は錆鉄人さんのファンで楽しくHPを拝見させていただいている。
そして私の山歩きは、相当に影響を受けている。
錆鉄人さんの日帰り難易度では鷲羽岳・水晶岳はAAAのランクとなっている。
AAAの基準とは
超難度の日帰り。
ほぼコースタイムの半分のスピード登山を10時間以上続けられる
脚力・体力・知的持久力が必要となります。
とある。
私にはコースタイムの半分のスピードは不可能。
知的持久力とは何のことか判らないがとにかく知的○○とくれば有るわけない。
しかし、コースタイムであれば長く歩くことはできると思っている。
歳とともに体力は落ち、このAAAに挑戦するのは今年しかないだろう・・・・。
このコースはコースタイムでほぼ24時間。
ここを22時間を目標にチャレンジする。
禿親父の大胆プロジェクトと言ってもいいだろう。
自分は1dayの山歩きを楽しんでいるつもりであるが、せっかく時間を作って
山に入るのだから日帰りでは勿体ないと言われることが多い。
そんな意見は聞こえない。なにしろ100名山亡者であるから・・・・
机上プランニングが始まった。
1.天気は絶対条件。雨では無理。午後の夕立はしかたがないが。
2.仮眠3時間は欲しい。
と言うことは前夜9時に新穂高温泉の駐車場に到着すること。
逆算すると東京~新穂高で5時間。
自宅を出発するのが4時。
なんやかやの準備時間を考え会社は2時に早退する。
下山後、車で3時間仮眠。東京に戻り、支度をして出社。その余力があること。
3.ヘッドライトとハンドライトを持つ。替え電池は必須。
4.水場は多いため、水持参の量は1.5リットルとする。
行動食は、水分補給も含めすべてゼリー飲料(アミノバイタルスーパーゼリー等)
5.行動予定表を分刻みで作成。
出発は0時ちょうど。
コースタイム1時間に着き5分短縮。
さらに休憩時間もコースタイム内でとる。
予定通り進まなければ、敗退をする。
例えば水晶岳を諦めるとか。
いろいろ考えてみたがやってみるしか結果は判らないであろう。
さて、24日水曜日。
前日の天気予報はばっちり晴れだった。
よし!計画を実行するぞ。
ところが、新穂高温泉の駐車場では雨が降り続いていた。
「天はまたまた我を見放されるのか・・・・。」
必ず晴れるはずだ。
そう信じていたが0時前には雨が上がらなかった。
今日は無理だ。
行けるとこまで行くことにしよう。
ぐずぐずしていたら出発が30分も遅れてしまった。
もう不可能かもしれない。
小降りになった雨は、再び降り出し左俣林道は雨具を着て歩くことになった。
深夜の登山センター。
ここで届を出す。
30分の遅れはあるものの、このころは、まだやる気があった。
笠新道の入口。
雨のため、ほぼ諦めたころ。
しかしその後雨が上がり、真っ暗なわさび平小屋前で雨具を脱ぐことができた。
時間も頑張れば計画の通りに戻せるかもしれない。
林道を離れ、鏡平に向かう小池新道に入る。
秩父沢にかかる橋。
沢音が大きい。
鏡平到着。
夜明け前の鏡池に映る槍・穂高連峰。
鏡平山荘。
夜が明けてきた。
よし!いい天気になるぞ。
弓折岳に向かう。槍ヶ岳~穂高の稜線をバックにパチリ1枚。
弓折中段を過ぎると登山道は山を巻くように上がる。
ちょこっと笠ケ岳の頭が顔をのぞかせた。
もうすぐ稜線到着。
弓折乗越。
とにかく素晴らしい展望だ。
どこから見ても一目でわかるキリリとした槍ヶ岳。
稜線にある花見平。その向こうは双六岳。
そしてほんの少し、鷲羽岳が見える。
雷鳥の幼鳥が木道を散歩していた。
とことこ歩いてこちらに向かってくる。
雷鳥の大胆な行動に思わず道を譲った。
「どうよ。この景色!」
一度は訪れてみたい北鎌尾根。
行く手にはだんだんと大きく姿を現し始めた鷲羽岳。
双六小屋の背景はまんま鷲羽岳。
双六池付近から笠ケ岳を望む。中央の山の右側のでっぱり。
双六小屋と双六岳
双六小屋からは少し登って、三俣蓮華に向かう巻道ルートに入る。
ここが分岐点。
鷲羽岳にさえぎられていた水晶岳もだんだんと見えてきた。
あそこが今日の最終目的地だ。
のっぺっとした樅沢岳の上にちょこっと出ている槍の穂。
三俣蓮華への巻道はこんな景色を見ながら進む。
小さな沢をいくつも越えていき、水場には事欠かない。
またまた槍ヶ岳。
手前の草原にはオオバギボウシが黄色に色づき始めている。
一瞬黄色い花のお花畑かと思った。
三俣蓮華岳。
今日は立ち寄りません。
もとい。
立ち寄れません。
稜線縦走路に合流。帰りもこの分岐から巻道を戻ることになる。
隣は丸山。
聞いたことのない山名であるが三俣蓮華岳よりどっしりと見える。
眼前に大きく立派な鷲羽岳がそびえる。
手前の赤い屋根・三俣山荘からの登り返しとなる。
ここまできて初めて鷲羽岳に登れると確信した。
「よしっ!行くぞ。」
本当は心の中に
「鷲羽岳さえ登れれば、水晶岳は行かなくても良い。」
という悪魔の囁きが聞こえていたのだが・・・・・。
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