『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ  12

2007-07-27 09:32:28 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 船団集結予定の二月の末日となった。
 狭い海域を吹き上がってくる南風、その風を押す中天にある陽春の日射しが波に映えている。
 集結港アウリスの埠頭に、アガメムノンと、その側近の一団が、持ち前の鋭い視線で海上を睥睨していた。この様にして、彼等が埠頭に立っている日が、今日で三日目である。
 海上を見ているアガメムノンの心は、もうすでに最終集結予定のレムノス島にあった。軍団の全戦士に、トロイ攻略の勝利の檄をとばす姿がありありと描かれていた。
 それとともに、遠く離れた戦野において、戦う軍団の風景とその姿、勝利を雄叫ぶ、我が軍団の戦士、鮮血のしぶきを噴きあげて倒れいく、敵の将と兵。それらに思いを馳せ、勝利を掌中にしていることを感じていた。
 感慨が過ぎたとき、遠望のなかに、波を掻き分けて進んでくる船団の一群が目に見えてきた。