『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  28

2008-03-01 08:08:12 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 プリアモスの呼びかけによる会議は、やつれはてた老王の悲嘆にくれた会議であった。老いた王の子息はパリスとデイポポスが席におり、軍団を統率する将のアエネアスである。アエネアスを中心として20人余りの将がいる。あとはといえば、老臣と側近たちであった。
 会議は、堂々巡りで進んでいた。先ず、ヘクトルの葬儀について話し合われ、援軍の要請について話し合った。ヘクトルの葬儀が終わるまでは、篭城戦の戦略を貫き、援軍の到着で陣容が整った上で、積極交戦とすることにした。会議に出席した者たちには、未来のトロイのあるべき姿は見えなかった。アエネアスは、急ぎ、援軍要請の使者を友好国に向けて送り出した。
 ヘクトルの身柄のこと、葬儀については、プリアモスの考えがまとまり、行動をとるまで、時間をくれるよう皆に告げた。
 老いたりといえどもプリアモスは、一国一城の主である。打ちひしがれ、やつれ果てているとはいえ、それくらいの思考と決断を出来ると己を信じていた。
 アキレスは、眠れぬ夜を過ごしている。満天に星の輝きの残る暗闇の間に、ヘクトルの遺体を戦車にくくりつけ、パトロクロスの塚の周りを三度び巡りまわり沈痛の心を抑えた。