会議を終えて、自分の部屋に引きこもったプリアモスは、三日三晩、食もとらず、寝ることもままならず、煩悶に身をさいなみながら考えた。4日目の朝を迎えたとき、そこには、やつれ果ててはいるが、迷いから解き放たれた、凛とした姿のプリアモスが起っていた。
彼は、準備に取り掛かった。今宵、深更に至って、単身アキレスの陣営を訪ね行きアキレスと信義を尽くして話し合い、トロイ一国の運命を託した息子のヘクトルの遺体を引き取ることを決意したのである。
彼は、宝物の倉庫より、美麗のローブ、豪華刺繍のチュニカ、黄金の延べ棒、そして、黄金の酒杯等を持ち出し、ヘクトルの身代金として、ふさわしい量の財宝の数々を準備した。それ等の品を、ラバに引かせる軽い荷車に積み込んだ。そして、夜の来るのを待った。
夜となった。月の出は夜半過ぎのはずである。プリアモスは、屈強の従者を一人だけ選んで同行させることにした。二人とも黒衣をまとい、用心深くスカイア門から外に出た。従者には、アキレスの陣営に至る道を調べさせておいた。砂地の大地は、歩み行くラバの足音も、荷車の進み行く音も消した。危機をはらんで二人は、アキレスの陣営を目指した。用心に用心を重ねて歩いた甲斐があり、道中、誰何されることなく、アキレスの陣営にたどり着くことが出来た。
彼は、準備に取り掛かった。今宵、深更に至って、単身アキレスの陣営を訪ね行きアキレスと信義を尽くして話し合い、トロイ一国の運命を託した息子のヘクトルの遺体を引き取ることを決意したのである。
彼は、宝物の倉庫より、美麗のローブ、豪華刺繍のチュニカ、黄金の延べ棒、そして、黄金の酒杯等を持ち出し、ヘクトルの身代金として、ふさわしい量の財宝の数々を準備した。それ等の品を、ラバに引かせる軽い荷車に積み込んだ。そして、夜の来るのを待った。
夜となった。月の出は夜半過ぎのはずである。プリアモスは、屈強の従者を一人だけ選んで同行させることにした。二人とも黒衣をまとい、用心深くスカイア門から外に出た。従者には、アキレスの陣営に至る道を調べさせておいた。砂地の大地は、歩み行くラバの足音も、荷車の進み行く音も消した。危機をはらんで二人は、アキレスの陣営を目指した。用心に用心を重ねて歩いた甲斐があり、道中、誰何されることなく、アキレスの陣営にたどり着くことが出来た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_yaho.gif)