『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  14

2009-08-06 07:26:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 風に吹き散らされる兵たちの鬨の声、槍の穂先が、剣先が、夕陽を照り返して、戦闘のどよめきが沸きあがった。兵らは上陸して行く、果敢に攻める、彼らは、怖じることなく敵を押し下げた。広い海浜は戦いの場と化した。砂地は硬くしまっていた。
 槍を突き合う懸かり声、撃剣の響き、横一尖の鋭い斬撃、首が飛ぶ、噴きあがる鮮血は風に舞う。波打ち際の剣合、倒れし者の血は、海の水を紅に染めていく、吹きさらされて散る勝者の雄叫び、光を失って倒れいく者の断末魔の声、闘争の地獄模様が展開された。
 アエネアスは、楯を背中に廻し、左手に槍、右手に愛用の剛剣を握り、数名の兵を従えて、戦場の真ん中に起っていた。敵中から一人の将が3人の兵を引き連れ、槍と剣をきらめかせて、アエネアスに迫ってくる。双方が斬撃の間合いをとって対峙した。見たことがあるような、ないような敵の将である。ニ,三言何かを言ったようであるが、アエネアスは聞いてはおらず、間をおかず、剣合におよんだ。