『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  26

2009-08-24 07:50:21 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、改まって口を開いた。
 『皆、良く聞いてくれ。上陸戦は、パリヌルスの周到な采配で荒れ模様にもかかわらず、敵を殲滅し、これを制圧した。パリヌルス、ご苦労であった。皆も命を賭けての戦い、ご苦労であった。深く礼を言うぞ。今夜から、明朝にかけて油断はできない。判るな。我々が寝込みを襲われるようなことがあってはならん。敵の作戦に、それがあるかないかは、我々には判らん。九死に一生を得て、我々はこの地にたどり着いた。我々は、これから、いい形で生き延びて、希望を達成しなければならない。そのことを心に留めて、歓待を喜んで受けよう。兵たちには酷なようではあるが、酒は度を越さないようにして、今夜の危機に備えるようにしてくれるように伝えてほしい。そして、浜頭、浜の衆に感謝の気持ちをこめて接するようにとも伝えてくれ。明朝までの敵襲に備えては、君たちで打ち合わせて、ことにあたってくれることを望む。いいな。』
 『判りました。』 一同は肯いた。オキテス、カピユス、そして、ヘレノスに変わって隊を率いているアミクスの三人は、自分たちが率いている隊が率先して、その任に当たると申し出た。
 打ち合わせは終わった。その時、浜頭の三人が彼らを呼びに現れた。