『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  29

2009-08-27 07:42:44 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 市民たちの中から声があがった。
 『オロンテス!お前の言うとおりだ。俺は、お前の考えに賛成だ。お前の言うことに従うぞ!思っていることを言ってくれ。』 
 『お前の言うことに従う。』 市民たちは、こぞって、賛意の声を上げた。
 『皆の衆、よくぞ賛成してくれた、礼を言う。するべきことはして、歓待の席に行こう。』
 感謝の心をこめた礼物は集まった。オロンテスは、必要と思われる以上には集めなかった。市民たちの未来は、これからも長く続く、何時の日かの、何かのためにの備えも必要なのだ。彼にとって一同を率いていくための認識でもあった。
 彼らは動いた。つぎつぎと礼の品物を持ち寄った。
 全員が宴席につき、浜頭の音頭で開宴した。宴席と言っても、テーブルも椅子もない。かがり火と食材を焼くための焚き火が宴席である。酒を杯に注ぐ、杯は、地面に突き刺しておく、この時代の杯はそのように造られていた。肴は、棒、串に刺して焼く、串を手にとって、噛み付いて食した。
 オロンテスは、集めた財物を市民一同の感謝の気持ちとして、浜頭、浜衆の方に渡してくれるようにと、アエネアスに託した。