『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  39

2011-03-17 07:59:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 焚き火を囲んで語り合い、酒宴をしていた一同は、夕食を終えて宿舎に落ちついた。
 夜のとばりの中、残り火がちろちろと燃えている。パリヌルスとテカリオンは二人きりとなった、彼らの目は潤んでいた。
 『パリヌルス、、、』
 『テカリオン、、、』
 二人は互いの名を呼ぶだけで言葉が続かない、見つめ合った。感情がわきあがってくる、思いあまった。
 ハッシ!と互いに肩を抱いた。体温を確かめ合う時が過ぎていく。
 『パリヌルスっ、元気であったか』
 『お前も元気であったか』
 同じ言葉を掛け合って、互いの無事と健やかさを確かめた。二人の間には言葉がいらない、情をこめた目を合わせた。
 『お前、どうしていた?』
 テカリオンが声をかけた。答えるパリヌルス。
 『あの悪夢の夜が明けて、昼頃であった、イリオネスが率いる軍団、その部下のアレテスたちが、トロイを逃れて、エドレミトに到着した。俺は、その軍団の船団の担当責任者なのだ。また、その軍団の交易部門も俺が取り仕切っていたのだ。イリオネスから詳しく事情を聞いて、即、出航と言う段取りで、この地を目指して船だまりをあとにした』
 テカリオンは、うなづきながら問いかけた。
 『ここに来る道中、何事もなかったのか』