『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  42

2011-03-22 07:37:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『イリオネス殿、この品揃えはみごとですな。戦利の品もきちんと分けてあり、アーモンドも荷扱いしやすいようにしてある。このテカリオン、あなた方の期待をうらぎるような値決めはいたしません。交易を互いの信頼の上で成立させる、このことに徹してやります。オロンテスさんもこの私を信用してください。いいですね』
 イリオネス、オロンテスの二人は、『いいですね』 の念押しのひと言で、しっかりテカリオンを信用した。
 テカリオンは、小山のように積まれているアーモンドを念入りに検品した。戦利品もしっかり見極めた。
 テカリオンは言う。
 『イリオネス殿、いま、時代は変わりつつあります。特に戦利品の中の剣のことですが、軽くて使いやすく、鋭い切れ味の鉄の剣に変わりつつありますが、まだ、市民の武装が整っていない土地があります。できるだけ踏ん張ってみましょう。それにしても武具の手入れがきちっと出来ている、これがうれしいですね』
 『テカリオン殿、貴方の言われるとおりだ。我々も剣については、少しづつではあるが、鉄の剣に変えていこうと思っている。その件についてもいずれ相談しなければいけないですな』
 イリオネスの目はトロイ戦役を振り返っていた。テカリオンの心のうちは、ニッコリしていた。