イリオネスは短く答えた。これらを引き取るテカリオンの心中を推し量った。
『判った。了解する』
テカリオンは、慎重さを崩さなかった。
兜、鎧、楯は、それなりに値決めして、剣と槍は、ひと山いくらと断を下して提示した。
『それは何ぼなんでも安すぎる。もうちょっとどうにかならないか』
テカリオンはしぶった。彼は、この要請に応じようか、どうするか、迷ったすえに応じることにした。
『そこまで言われるのなら判りました。ここいらが、精一杯のところです』
『そんなものかな。いいだろう、了解する』
商談は終わった。品々の値決めを終えた当事者たちは緊張を解いた。パリヌルスは、一同を見回して、
『まあ~、一服しましょうや』 と茶を注いだ。
テカリオンは、気にしていたことをイリオネスに訊ねた。
『イリオネス殿、貴方の左手にある、線引きされた板と鉄の棒は何ですかな』
『あ~あ、これですか。テカリオン殿はこの道具をご存知じゃないのですかな。これは、いたって重宝、この上ないないものなのです。方角を測り、大雑把であるが時を知る道具なんですわ』
『ほう~、そんな道具があるのですか。見せていただいてよろしいですかな』
イリオネスは売り込みのタイミングを謀った。
『どうぞ、どうぞ』
『ひとつは、板に十字に線引きして中央に穴がある。棒を差し込んで立てるようになっていますな。しかし、もう一つは、何の仕掛けもない、ただの鉄の棒ではありませんか』
『判った。了解する』
テカリオンは、慎重さを崩さなかった。
兜、鎧、楯は、それなりに値決めして、剣と槍は、ひと山いくらと断を下して提示した。
『それは何ぼなんでも安すぎる。もうちょっとどうにかならないか』
テカリオンはしぶった。彼は、この要請に応じようか、どうするか、迷ったすえに応じることにした。
『そこまで言われるのなら判りました。ここいらが、精一杯のところです』
『そんなものかな。いいだろう、了解する』
商談は終わった。品々の値決めを終えた当事者たちは緊張を解いた。パリヌルスは、一同を見回して、
『まあ~、一服しましょうや』 と茶を注いだ。
テカリオンは、気にしていたことをイリオネスに訊ねた。
『イリオネス殿、貴方の左手にある、線引きされた板と鉄の棒は何ですかな』
『あ~あ、これですか。テカリオン殿はこの道具をご存知じゃないのですかな。これは、いたって重宝、この上ないないものなのです。方角を測り、大雑把であるが時を知る道具なんですわ』
『ほう~、そんな道具があるのですか。見せていただいてよろしいですかな』
イリオネスは売り込みのタイミングを謀った。
『どうぞ、どうぞ』
『ひとつは、板に十字に線引きして中央に穴がある。棒を差し込んで立てるようになっていますな。しかし、もう一つは、何の仕掛けもない、ただの鉄の棒ではありませんか』
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