『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 1067

　『今、軍団長からの話にあったように、我々が建造した新艇５艇を完売、注文主かたへの引き渡しを今回の新艇納入航海をもって完了した。非常に喜ばしい次第である。この販売業務を担当したオキテス隊長及びオロンテス隊長、大変ご苦労でした。この件について両隊長より報告いただきたい』
　オキテスが話し始める、彼は、新艇５艇の販売経緯を話し、昨日、集散所においてのハニタスとの話し合いの結果を報告した。オキテスとオロンテスは、うなずき合いながら報告する。
　軍団長が二人の報告を聞く、統領と打ち合わせる、統領が後事を二人に任せる旨を言い渡す。
　『この件のことだが、集散所の予定を了解した。決済の件については、最終的に軍団長と打ち合わせながら処理してくれ。オキテス隊長、オロンテス隊長、よく力を尽くしてくれた。ご苦労であった。心から君らに礼を言う』
　『これは、我々が当然やらなければならない業務です。この結果を出せたことは、我々一族の持てる力を凝集したればこそ為し得た結果です。このあと、オロンテスと私が担当する決済業ムにおいても満足できる結果となるよう力を尽くします』
　オキテスが答える、オロンテスが同調する。一同から拍手が起きる、統領からの指示を二人は受け取った。
　会議は次の議題へと移る。
　『次は、このたびのテムパキオへの航海途上、ガブドス島の海域において展開した海上交戦で軍船に乗り組んでいた者らが勝利した。彼らに対して何かをしてやらねばならない。その件をこの場で決めて、実行計画を提示していただきたい』
　統領からの質問である、それにはオキテスが答える。
　『まず、俺が聞きたいのは、その海戦において、負傷した二人の容態は、どんな具合だ？』
　『今朝ですが、この二人と朝行事の場で顔を合わせました。容態について尋ねたところ、朝行事がやれるところまで回復したと言っています。安堵してください』
　『ほう、そうか、それはよかった。海戦に勝利した彼らの件については、昨日だが軍団長と話し合った。結論を言う。海戦勝利の祝賀の宴をやろう！それでどうだ。いろいろと軍団長と頭を突き合わせて考えた。あれこれ迷ったが、それ以外にない。二人の傷が完治するのを待つのもいいが、それではタイミングが遅れてしまう。よければ、明日、夕刻の催行だ。いいな』
　『やりましょう！私に異論はありません』
　オキテスが口走る。オロンテスもパリヌルスも賛同する。
　この件は瞬時に決定した。