『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1086

2017-07-31 06:40:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 朝が明ける、浜は多忙である。一日があっという間に過ぎる。
 イリオネスがキドニアに赴く朝が明ける。
 ヘルメス艇の出航準備が整う、オロンテスは、浜に立つイリオネスを迎えに行く。
 『軍団長、出航の準備ができました。ヘルメス艇のほうへ』
 『おう、オロンテス、ご苦労。して、オキテスは?』
 『はい!オキテス隊長は、もうすでに艇上です』
 『そうか、オロンテス、行くぞ』
 ヘルメスは、凪いでいる海をキドニアへと泡立てて進む、中間地点に差しかかる、いい西風が来る、ヘルメスは帆張りして波を割った。
 イリオネスがオキテスに声をかける。
 『おう、オキテス!』
 風がイリオネスの声を吹き飛ばす、オキテスがイリオネスに身体を寄せる。
 『はい、なんでしょう』
 『ヘルメスにも、あの新しい舵構造を造作してみてはどうだ』
 『そうですね。パリヌルスとドックスとも話し合ってみます』
 『あの舵構造の船舶が増えていくと、あの舵構造が船の舵であることが定着していく』
 オキテスがイリオネスと目を合わせる。
 『ヘルメスに造作する前に、アレテスの使っている初代の舟艇に造作をしてみます。アレテスがどう言うか、聞いてみたい気がします』
 『まあ~、何でもいい、船尾を改造して新構造の舵を造作するか否か。それによって、船の改造という新事業を起こすことができる』
 『解りました。パリヌルス、ドックスらと話し合ってみます』
 ヘルメスが船だまりに入っていく、岸壁につけた。
 キドニアにおける今日の業務がスタートする。一同がパン売り場へと向かう。
 イリオネスが売り場のスタッフらの所作を注意深く見つめる。オロンテスは集散所の詰め所へ打ち合わせに向かう。
 『お~お、ハニタス殿、おはようございます。今日の決済と打ち合わせの件ですがどのようにやりますか?』
 『あ~、オロンテス殿、おはようございます。もう皆さんおいでになりましたか』
 『はい、当方は、軍団長とオキテス隊長と私の三人です。時間と場所を言っていただければ、三人がその時間に来ます』
 『解りました。半刻ぐらい経ったら詰め所のほうへおいで下さい。別室を整えて、お待ちいたします』
 『解りました。その頃合いになりましたら、こちらへ来ます』