『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1110

2017-09-01 08:24:00 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『では、会議のラストコール。この場で話し合っておきたいことがあれば、話していただきたい。オキテス、君に尋ねるが、どうかな?』
 『俺の方からは、今はない』
 『オロンテス、君の方は?』
 『俺の方もない』
 『軍団長からは?』
 『おう、俺からか。ここ二、三日の状況次第でマリア往きの出航を早めようと考えている。一両日中に決める。使用する船は、戦闘艇の試作艇を使用する。整備のほうをよろしく頼む。また、同行するメンバーについては、明後日に打ち合わせる。以上だ』
 『了解しました』
 『統領からは何かありますか?』
 『俺の方からは、無い』
 『解りました』
 『では、以上を以って会議の終了とする。次回会議は、軍団長のマリアからの帰着を待って開催する。会議終了!ご苦労でした』
 会議が終わった。
 吹いて通るをこらえていた一陣の風が通り過ぎていく、ざわめく木の葉ずれ、強い陽光が熱を落とし込む。
 一同が場をあとにした。

 アエネアス暦八月一日の朝が明ける。
 イリオネスとパリヌルスが浜で顔を合わせる。
 『軍団長、おはようございます。いい朝です』
 『おう。パリヌルス、おはよう、いい朝が続く。話がある、いいな。出来あがった図面組のことだが、マリア往きに12組くらい持参しようと考えている。そのつもりでいてくれ』
 『解りました。それで私も考えたのですが、新艇の図面組も3組くらい準備しようと考えていますが』
 『おう、それはいいな、それも頼む!『ネクスト』決めてからだが、お前ら三人、けっこう、攻撃的だな。そのような雰囲気を感じる』
 『そうですか、仕事に対する姿勢が前向きになったことは確かといえます』
 『いい傾向といえる、だがだ。力みは、目指す目標に対して反対に作用することもある。それは、余力をなくして留意領域のすべてに目が届かなくなるからだ』
 『力んでことをやる!そのような負の傾向が生じる。解ります』
 『肩の力を抜くのだ。そして、脚下照顧、確かな一歩を前へだ!次の機会に肩の力の抜き方を教える』
 『解りました。心します』
 パリヌルスが持ち場へと歩を運んでいく、イリオネスは、自分の宿舎のほうへと足を向けた。
 浜全体が順調といえるワークムードで動いている。見えざる手が背中を押しているといった感じで活性していた。