『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1118

2017-09-13 09:02:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスは、袋の中から紹介の文言が記された2枚の木板を取り出す、三人が目を皿にして見入った。
 1枚は、マリア集散所の所長あてであり、もう1枚は、船舶等大型商品の担当長にあてたものである。
 木板は、集散所としての公式の通達状である。その紹介状の木板の中央上部にクレタを統治する王の紋章である『両刃の斧』の紋章が鮮明に焼印で印されている。
 『ほっほう!これは公式の通達状としての木板だ。ありがたい、これで事は半分以上なったと考えていい』と言って2枚の木板を袋の中に収めた。
 『おう、オキテス、アレテスの昼便はもう帰ったかな?船だまりを見てきてくれるか。まだいるようであれば、その帰り船に乗って帰る。待つように伝えてきてくれ』
 『解りました』
 オキテスが速足で船だまりにに向かう、アレテスの昼便の船が船だまりにいる、オキテスが用向きを伝える、彼はとってかえす。
 『軍団長、まだいました。待たせています。帰られますか?』
 『おう、帰る。お前はどうする?』
 『私も帰ります』
 『おう、オロンテス、決まりだ。俺とオキテスは、アレテスの帰り船で帰る。あとのことよろしく頼む。それからだが、マリア往きの食糧計画の件だが、お前が帰ったら打ち合わせる』
 『解りました』
 『オロンテス、俺も軍団長に同行する。そういうことだ。よろしく頼む』
 『オキテス、軍団長のマリア往きの人員計画ができたら、その詳細を俺が帰ったら打ち合わせる。解ったな!』
 『おう、了解、心得た!』
 イリオネスとオキテスは帰途に就く、アレテスは船だまりに向かって歩いてくるイリオネスらの姿に見入る、二人のオーラを身に感じた。
 二人は、帰り船の船上で話し合う。
 『おう、オキテス、そういうことだ。段取り作成に取り掛かってくれ。それからだが、クレタ言葉の通訳にクリテスを同行するからな』
 『解りました』
 帰り船は、ほぼ日常の定まった時間に浜に帰り着いた。
 イリオネスは、アエネアスと今回のマリア往きの計画の詳細を打ち合わせる。
 オキテスは、マリア往きの用船とその乗り組みについて、パリヌルスと話し合って決める。
 『パリヌルス、ところでだが、ヘルメスに造作をしたい。新舵構造を取り付けてほしい。明日一日ある、ドックスと打ち合わせてやってほしい、操船テストもよろしく頼みたい』
 『解った。今夕から取り掛かる。ドッグスが手すきになったら、俺のところへよこしてくれ』
 『手すきなんて言っていられない。すぐ、呼んでくる』
 オキテスは立ちあがる、建造の現場に向かった。