『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1117

2017-09-12 08:27:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『軍団長、解りました。出航はいつですかな?』
 『出航は、集散所暦で8月4日だ!俺の方は、その日の昼頃にキドニアに着く、そこで乗船してくれればいい。その都合でいいかな?』
 『解りました!軍団長殿の志向に共通項を見出し、情報で共有すべきものは共有して事に挑みます。どうか、このスダヌスを存分に使ってください』
 『おう、ありがとう!よう、言ってくれた。礼を言う』
 『心得ました。8月4日、身づくろいを整えて、船だまりで待ちます』
 『今、ここで何か聞いておきたいことがあるかな?』
 『いえ、ありません!信頼いたしております』
 『そうか、伝えるべきことを伝えておく。マリアへ行く用向きは、いま、建造中の戦闘艇と新艇の営業だ。立ち寄る先は、レテムノンの何と言ったかな、彼は?』
 『テムノス殿です』
 『おっ!そうそう、テムノス殿、そして、イラクリオンのエドモン浜頭殿のところへ立ち寄ってマリアへ向かう。マリアには2日くらい滞在する、そのように考えている』
 『そうですか。そのような予定ですね、了解しました』
 『マリア往きの用船には、浜頭も知っている戦闘艇の試作艇とヘルメス艇の2艇行く。マリアへ行くスタッフは、俺とオキテス、そして、浜頭だ。よろしく頼む』
 『解りました。今後の事、これからを考えたら、もし、よろしければ、クリテスお連れください。なにかの役にたつと考えます』
 『お~、そうか、通訳がいるな。いいことに気づいてくれた。俺の考えから抜け落ちていたな。クリテスを同行メンバーに加える。これが大体のところだ』
 『了解いたしました』
 『昼めしを中断して話し込んだな。この羊肉のジャーキー、なかなかいける、うまい!』
 『そのように言っていただける。持ってきた甲斐があるというものです。軍団長との船旅は、イデー山山行から久しぶりであり、マリアへは2回目ですな。エドモン浜頭が喜びます』
 『そうだな達者でいられるかな?』
 二人は懐かしい思い出にうなずき合った。傍らのオキテスは、1ケ月前にテムノス頭領のところに新艇を納入したときのことを思い出していた。
 彼ら3人は、あれやこれやと話に花を咲かせて、昼めしを終えた。
 『では、浜頭、そういうことでよろしく頼む。少し急な申し入れをしたな、許せ!』
 『いえ、では、当日、一行の到着を船だまりで待っています』
 『おうっ!』
 彼らは場をあとにしようと立ちあがる。
 オロンテスが姿を見せる。彼は大きな袋をわきに抱えている。
 『軍団長、紹介状が届きました。ハニタス殿の持参です』
 彼はそのように告げて、届けられた紹介状の入った袋をイリオネスに手渡した。
 『お~お、ありがとう。中を改めていいかな』
 イリオネスが袋の口を開けた。