決めた方向転換点は、折からの風で海面が猛っている、波頭が風に舞い飛んでいる。
ギアスの声が飛ぶ。
『カイクス!艇を右へ!舵を操作だ!』
ギアスが身体を向け手をさし伸ばして方向を示す。
『漕ぎかたやめっ!帆張りだ!』『全帆を張れ!』
艇上の者らの呼吸の合致、作業の瞬時完了である。ヘルメスの左舷があがる右舷が沈む、艇尾が左方向にふれていく、舳先が右方向へと波を割る。
艇上の者らにしぶきが見舞う、方向転換と帆張り、全帆がはらむ風、ヘルメスは波を蹴り割り海上を駆けた。
『ヘルメスの走りなかなかいい!カイクスもやるではないか、ギアス、舵操作を任せて安心できる。艇の具合い、舵の具合いに不具合はない!ヘルメスに命を託してマリアへ行ってきてくれ』
パリヌルスがドックスに声をかける。
『棟梁、聞いてくれ。ヘルメスにも、造作した舵にも不具合がない。よくできている。舵の動作、操作効果が、試作戦闘艇より敏感に働くな。艇体の構造か、はたまた、艇体の重さが関係するのかな?これからの俺の思考課題といったところか』
『パリヌルス隊長の感性というか、感覚はすごいの一語ですな』
ドックスが感動の声をあげる。これを耳にしたギアスは、パリヌルスが手の届かぬ次元の高いところで船舶を構想していることを感じとっていた。パリヌルスの発想のメカニズム、そして、何かを創出する思考の仕組みにドックスとギアスは、人間業とは思えぬ何かを感じた。
ヘルメス艇が試走を終えて浜に帰ってくる。
パリヌルスとドックスの二人は、舵構造の造作を満足にやり終えたことに、目を合わせてうなずき合ってヘルメスを下りていく、ギアスは、最敬礼をして二人を見送った。
ギアスは、一同に指示して、明日の出航に際してのヘルメスの点検整備作業をする。
ゴッカスも試作戦闘艇を海上に浮かべ点検整備作業を丹念に行っている。
ゴッカスがギアスに声をかけてくる。
『試走はどうであった?』
『おう、諸事、具合がいい!満足満足といった状態だ』
『そうか、それは重畳というところだな』
『おう、ゴッカス、明日からの航海は、安全航海の実行だ!』
『おうっ!』
二人は、胸に同じ思いを抱いていることを確認した。
浜には、今日の終業の時が訪れていた。
ギアスの声が飛ぶ。
『カイクス!艇を右へ!舵を操作だ!』
ギアスが身体を向け手をさし伸ばして方向を示す。
『漕ぎかたやめっ!帆張りだ!』『全帆を張れ!』
艇上の者らの呼吸の合致、作業の瞬時完了である。ヘルメスの左舷があがる右舷が沈む、艇尾が左方向にふれていく、舳先が右方向へと波を割る。
艇上の者らにしぶきが見舞う、方向転換と帆張り、全帆がはらむ風、ヘルメスは波を蹴り割り海上を駆けた。
『ヘルメスの走りなかなかいい!カイクスもやるではないか、ギアス、舵操作を任せて安心できる。艇の具合い、舵の具合いに不具合はない!ヘルメスに命を託してマリアへ行ってきてくれ』
パリヌルスがドックスに声をかける。
『棟梁、聞いてくれ。ヘルメスにも、造作した舵にも不具合がない。よくできている。舵の動作、操作効果が、試作戦闘艇より敏感に働くな。艇体の構造か、はたまた、艇体の重さが関係するのかな?これからの俺の思考課題といったところか』
『パリヌルス隊長の感性というか、感覚はすごいの一語ですな』
ドックスが感動の声をあげる。これを耳にしたギアスは、パリヌルスが手の届かぬ次元の高いところで船舶を構想していることを感じとっていた。パリヌルスの発想のメカニズム、そして、何かを創出する思考の仕組みにドックスとギアスは、人間業とは思えぬ何かを感じた。
ヘルメス艇が試走を終えて浜に帰ってくる。
パリヌルスとドックスの二人は、舵構造の造作を満足にやり終えたことに、目を合わせてうなずき合ってヘルメスを下りていく、ギアスは、最敬礼をして二人を見送った。
ギアスは、一同に指示して、明日の出航に際してのヘルメスの点検整備作業をする。
ゴッカスも試作戦闘艇を海上に浮かべ点検整備作業を丹念に行っている。
ゴッカスがギアスに声をかけてくる。
『試走はどうであった?』
『おう、諸事、具合がいい!満足満足といった状態だ』
『そうか、それは重畳というところだな』
『おう、ゴッカス、明日からの航海は、安全航海の実行だ!』
『おうっ!』
二人は、胸に同じ思いを抱いていることを確認した。
浜には、今日の終業の時が訪れていた。