『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1130

2017-09-30 06:28:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『浜頭、それを聞いてくれるのか、ありがとう。近頃になって息子に任せることが多くなった。大きな進展はないが、まずまずといった順調さでやっている』
 『それは重畳とというところだな。任せる息子がいる、いいことだ、うらやましいぞ!スダヌス。いやな、クノッソスのほうは日常平穏かというと、そうではない、商況は変わらずだが』
 『そうですか。平穏な日常、商売繁盛が一番なのですが』
 二人の浜頭の話の終わりを待つオキテス、話しかけるタイミングを待っていた。
 『テムノス浜頭殿、私ら浜頭には大変お世話になっています。そのお礼を申し上げるべく、当方の軍団長イリオネスが来ております』
 『お~っ!そうか。統領殿は元気か?』
 『はい、元気にしています』
 『新艇の試乗に君らの浜に行ったとき同席したイリオネス殿か、それは、久しく会えるとはうれしい、いろいろと話もあるだろう。今夕は、夕食を一緒にしよう。お連れしてくれ』
 『会っていただける、それはイリオネスが喜びます。そのうえ、夕食までとは、それはこの上なしに喜びます』
 『スダヌス、お前も同席だ』
 『それはそれは、ありがとうございます』
 『夕食は、浜焼き夕食会だ。漕ぎかた一同も招待する。総勢は何人だ?』
 この言葉にオキテスもスダヌスも驚いた。
 『テムノス浜頭殿、漕ぎ方の者は50人にもなります。それは恐縮のいたりです』
 『多勢ははいっこうにかまわん!こちらも60人を超える。我々も久々の大宴会だ。大賑わいはこの俺の好むところなのだ。オキテス殿、遠慮なしにしてくれ』
 『解りました。喜んで出席させていただきます』
 『おっ!よしっ。夕食会は浜でやる、半刻後だ、準備ができ次第、呼びに行く』
 『テムノス浜頭殿、言葉に甘えます、ありがとうございます。手伝うことがーーー』
 『それは心配に及ばん!我々の心づくしの夕食会だ』
 『ありがとうございます、ではのちほどに』
 オキテスら二人はテムノス浜頭の屋敷を辞して艇に戻る。詳細をイリオネスに報告する、彼は驚いた。
 『おう、オキテス、それは恐縮の至りだな。夕食に伺う準備を整えてくれ。手土産に持参した堅パン、そして、スペッシャルパン70個くらいかな、酒樽一つを持っていく』
 『解りました』
 『艇には、留守番役2名を残し、全員参加とする。ここは、いさぎよく、言葉に甘えて全員参加とする』
 『了解しました』
 ほどなく、テムノス方から連絡が来る。
 彼ら一行は、夕食会の催行の浜へと向かった。