『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1390

2018-10-13 07:37:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、トロイ民族を率いる統領として至誠の念を込めて話し続ける。
 彼の思念は、トロイ人民に対してであり、その人民に接する者たちへもその念を持って接するべきであるとの姿勢で話そうとしている。
 起立姿勢で話していた彼が腰を下ろす、一同と目線の高さを同一にする、話し始める、丁寧な言い回しである。
 『諸君等に俺の思いを伝えたい。俺たちが力を合わせて推し進めている事業体についてである。我々が船舶の建造に本格的に着手した。それについて俺の考えの原点となる構想を君らに伝えたい』
 アエネアスがイリオネスと目を合わせる、次いでパリヌルスら三人にも順に目を合わせていく。
 『船舶建造の場が君らの構想と尽力によって整備され出来あがった。建造の場は素晴らしい!絶賛に値する。開場の時に口にした四位一体の構想について話しておく』
 場に会している四人がアエネアスと目線を結ぶ。
 『この四位一体の構想を強い信念でこの胸に持している』
 アエネアスは、右手の手のひらを左胸にあてる。
 『四位一体で仕事を為してこそ、事業が成り立ち、運営維持していける。解ってくれるな』
 四人と目を合わせる。
 『四位一体で活動してこそ事業体の未来が開け、時代が連なっていくと考えている。その四位とはだ!』
 言葉に力がこもっている。
 『その第一は、人材によるいいモノつくりの構想である。第二は、いいモノを造る施設のあることだ。いわゆる建造の場のことだ。第三は、いいモノを創出する、いいモノを造る技術を持った集団だ。第四が造りあげたモノを使う人々に届ける、我らと外部に組織的に、また、計画的に活動する集団である』
 聞きいる者たちの呼吸をを感じ取る。
 『これら四位が一体となって活動してこそ事が成りたっていく』
 アエネアスは一同と改めて目を合わせる。
 『一同!解ってくれたかな』と念を押した。
 オキテスがパリヌルスに俺ら三人の答えを言ってくれという。
 『統領の言われる通りです。理解しました。この事業体を運営、仕事をやり続けていくうえで、私らが正しく強く認識して仕事をやっていかなければならない。その要諦を理解いたしました』とパリヌルスが三人に代わって答える。
 『そうか、理解してくれたか。ありがとう。これがあって、脚下照顧、一歩前へ進む。我ら民族がよき明日を築くために努めてほしい!』
 パリヌルスが三人を代表して答える。
 『これを事業運営方針として、事業体の運営にあたります』
 『ありがとう、未来を見つめてともに歩もう!』
 これによって彼らの目を通して未来をうかがい見ることが出来るとアエネアスは事業の運営に携わる者たちのことに想いを馳せる。
 会議におけるアエネアスの言葉を静かに聴いていたイリオネスは自分の立ち位置を自覚した。