『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1391

2018-10-15 07:59:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスの四位一体構想の話が終わる。
 会議を進行させるイリオネス。
 『統領からの事業体運営の四位一体構想を拝聴した。一同、理解したな』
 『はい!理解しました。肝に銘じました。確実に結果を出すように精進します』
 アエネアスが言葉をはさむ。
 『お前ら殊勝に返事はしたが、チョッピリ固いな、そのように固くなるな。身体から力を抜いて、気を入れろ!気の入り方が足りていない。事に当たるには、気を入れて闊達にふるまう、そうすれば寸前の不明が見える。奔放にふるまえなければ後手の先をとって、状況の確実対処が困難だ。そういうことだ』
 『統領の極意ですね。道理で統領と対峙すると気おされてしまい、何もできない。そういうことでしたか』
 『事にあたる、気を入れる!それは筋肉の使い方でやる。それも小さな小さな筋肉の使い方ひとつでそれができるのだな。決め手への入口だ、覚えておくといい』
 アエネアスが一同と目を合わせる、目が口以上に話している。
 『左手の子指1本に力を集中させて握る、残る9本の指の力は抜くこと、それだけでいいのだ。ちょっとは意識的に癖をつけるといい。両の手に力を入れて10本の指で拳を握る、力が入り過ぎて力み状態になる、事をしくじることがある。そういうことだ、解ったかな。また、力みになれて事を処していく、力みが力みでなくなる、その領域に到達するには時間をかけて修行の必要がある』
 アエネアスの言葉が和んだ口調になる。
 『そうだな、自然体という事もある。自然体に構える、大事なことだ。気を充実させて、背筋を伸ばし胸を張った姿勢で構える。胸を張っていなければ脇にあまさが出る。それがことに対峙する姿勢だ。肩をすぼめて胸をちぢこませて立っていると脇にあまさが出る、それが気のあまさにつながる、潜在気力の喚起を失う。それが姿勢だ。そういうことだ』
 『ありがとうございます。そのように身体の筋肉を使って、潜在気力の覚醒を行う。精神一到事を成すですな』
 『事は成る。あれこれ考えず、気を敏にして、我を忘れて事にあたれ!おうおう、訓話になったじゃないか、軍団長、会議を進めよう!』
 『しかし、なかなかの訓話でした。目標の達成が苦もなくできそうですな。いい話をいただきました。事にあたっているときそのような状態でやっていても言葉にできないでいます』
 『あ~あ、それは事が成っているからだ。言葉にすることはない』
 イリオネスが応える、姿勢を改める、一同に声をかける。
 『おう、会議を進める。宵が来たな、オキテス、場を明るくする。松明に火をつけてくれ』
 パリヌルス、オロンテスがオキテスに手を貸す、4本の松明に火が点く、場が明るくなる。