『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1445

2018-12-28 16:12:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 エドモン浜頭に船舶売り出し展示試乗会催行の礼を述べ、挨拶を終えて、宿営した浜に戻ってきたオキテスにダックスが声をかけてくる。
 『オキテス隊長、出航の準備が整っています。現在、海は凪ぎの状態ですが沖の海上状況は、この頃合いでは、船の行き来もなく、風のあるやなきやが解りません』
 『おう、解った!とにかく、出航する。出たとこ勝負だ!』
 オキテスの気持ちを思いやったダックスが全員に指示をする。
 『全員!乗艇!位置に就け!』
 『おう!』『おう!』
 彼らがダックスの指示の呼応して艇に乗る。
 『軍団長、艇に乗ってください』
 『おう、オキテス、浜の掃除は終わっているか?最終の点検をしてくれ』
 『清掃は、きれいに出来ています。申し分ありません』
 二人が乗艇する、オキテスがダックスと目を合わせる、うなずきあう、艇上を見渡す、オキテスが声をあげる。
 『出航!』
 ダックスが指示を飛ばす。
 『櫂さばきのピッチをあげ~っ!』
 戦闘艇、ヘルメス艇の二艇がイラクリオンの係留岸壁を離れていく、海面を泡立てて凪いでいる海を西へと波を割っていく。
 オキテスが大声で一同に伝える。
 『今日の午後半ばごろには、レテムノンに着く!今夜の停泊はレテムノンである!一同、解ったな』
 『おう!』『おう!』『おう!』
 操船担当が漕ぎかたの交替に気を配る、二艇は船速を落とすことなく航走する、昨日のイラクリオンにおける商況の活性をうけて、元気船足で洋上を駆ける。
 頃合いが昼頃になろうとしている、先日停泊したパノルモスの沖を通過しようとしている。
 オキテスが一同に声をかける。
 『クレタ島の真ん中あたりを見ろ!彼方に山のてっぺんが見えるだろ!クレタで一番に高い山だ!あれが『イデー山』だ』
 彼らは、島の真ん中にそびえるイデー山を彼方に身ながらの航走である。
 櫂さばきで飛ぶしぶきあびて、艇上で昼食のパンをほおばった。


 *ご挨拶申し上げます。ブログ小説『トロイからの落人』お読みいただき誠にありがとうございます。
  謹んでお礼を申し上げます。
  今日を含めて五日で新しい年が明けます。皆さまにとって良き年であることを力いっぱい祈願いたします。

                                  山田 秀雄   山田 萌愛