『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1448

2019-01-09 10:10:36 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 水夫頭がオキテスからの礼を受けとる、設営要領について話し合う。
 『いえいえ、どういたしまして、長い船旅、いろんな苦労がついてまわります。互いに苦労の共有です。ところで、オキテス隊長、明朝、陽の出後、朝めしを済ませ一同を連れてこちらへ来ます。よろしく願います』
 『了解しました。待っています。浜は、どのあたりを使うことになりますかな?』
 『この辺りは接客の場になります。試乗の乗り場は、停留岸壁の東端しを使おうと考えています』
 『解りました』
 オキテスと一同が夕食の馳走を届けてくれた水夫頭と一行に声をかける。
 『喜んで馳走になります。ありがとうございます』
 その礼言葉に一行は、手を振りかざして場を去っていく、一同がこれを見送る。
 彼らは、届けられた馳走を味わい夕食を終える。
 この季節、夜空に照る清明の弦月、にぎやかに輝きに興ずる星を仰ぎ見て寝につく、眠りをさまたげる蚊はいない、彼らはぐっすりと眠りをむさぼった。
 
 レテムノンにおける船舶売り出し展示試乗会の朝が明ける。
 朝行事を終えてオキテスは、一同の気鋭を確かめる。
 『おう、おはよう。お前ら、気は張っているか!?』
 『おうっ!』
 『一に気迫だ!』
 『おうっ!』
 『ニに、気合いだ!』
 『三、四がなくて、五に、気合いだ!』
 『おうっ!』
 オキテスは、一連の船舶売り出し展示試乗会の最終回に及んで一同の気勢をたからませる。
 『よしっ!朝めしといこう!』
 彼らは、朝めしを胃ブクロに収める。
 テムノス浜頭方の水夫ら一行が来る、オキテスと水夫頭が作業段どりをうち合わせる、台や丸太を切ってしつらえた腰掛が運び込まれる、場が整う、会場設営が終わる。
 一同が担当の場に就く、オキテスが陽の位置を確かめる、態勢をチエックする、一同の気張りを肌に感じとる。
 テムノス浜頭が客人とその一行を引き連れて姿を見せる。
 彼らを迎える、水夫頭、イリオネス、オキテスと係員一同、レテムノンにおける船舶売り出し展示試乗会の開催の幕を切って落とした。
 オキテス以下の業務に携わる者らが慣れた手順で客対応をする。
 試乗艇が客人らを乗せて白い航跡を引いて沖へと岸壁を離れていく。
 オキテスの耳に聞き覚えのある声が届く、パキオテ頭領が知り合いを連れて会場に姿を見せる。これを迎えるテムノス浜頭とオキテス。
 停留岸壁に一艘の船が着く、スダヌス浜頭が船から降りてくる。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1447

2019-01-09 05:16:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 テムノス浜頭とイリオネスの二人が再会をこの上なく喜び合う。
 テムノス浜頭が声をかける。
 『イリオネス軍団長殿にオキテス隊長、こちらがテムパキオから来た友人のダムネス浜頭です。よろしく!』
 テムノス浜頭とダムネス浜頭、イリオネスとオキテス、四人が目に親しみを浮かべ目線を交わす。
 『ダムネス浜頭、こちらの二人がニューキドニアの浜で造船事業をしているアエネアス統領の営業の業務を担当しているイリオネス軍団長とオキテス隊長である』
 『そうですか。私は、テムパキオのパキオテ頭領と同業のダムネスです。よろしく願います』と言って、手をさし伸べる。
 イリオネスとオキテスは、差し出された手をしっかりと握る。
 互いに目を合わせうなずき合う、固い握手を交わし終える。
 テムノス浜頭が三人が挨拶を交わし終えるのを待って声をかける。
 『オキテス隊長、明日のことだが、船舶売り出し展示試乗会の会場設営のことだが、どのような段取りで作業を進めるかを説明してくれればいいのだが。俺の方では、水夫頭以下数名の者が手伝うことにしている』
 『そうですか、それは心強い!ありがとうございます。明朝、現地集合でやるということで如何でしょうか』
 『それでいいのか。了解した』
 テムノス浜頭が水夫頭のほうへ体を向ける。
 『頭、聞いたとおりだ。そういうことだ。朝早く者どもを連れて浜のほうへ出向いてくれ』
 『承知しました』
 『オキテス隊長、そのように段取りする。よろしく頼む』
 『テムノス浜頭、よろしく頼みます。それでよろしく願いたいのは、今夜ですが、停留岸壁の浜で宿営したいのですがーーー』
 『あ~あ、いいとも!使ってくれ』
 『ありがとうございます』
 『君らも長い道中だ、食糧のほうはことたりているのかな?君らの夕食の副菜を届けようかと考えている。人員は何人だ?』
 『はい、ありがとうございます。そのような心遣いをいただいて、とても恐縮です。私らの総員は65人です』
 『解った!』
 打ち合わせを終えて、イリオネスとオキテスが場を引きあげる、浜に戻る、一同を集める、オキテスが明日からの三日間の業務の遂行予定を説明する。
 一同から了解の目線が返ってくる、話し終える。
 『おうっ!』『おうっ!』『おうっ!』
 一同から応諾の返事がかえって歓声があがる。
 テムノス浜頭の心遣いの副菜が届く、一同が歓声をあげる。
 『水夫頭殿、これはこれはかたじけない、喜んで頂戴します』
 オキテスは、水夫頭に丁寧に夕食の副菜をもらった礼を述べた。