『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1458

2019-01-23 05:43:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスとオキテスが挨拶を終える、去りぎわになってオキテスが水夫頭に声をかける。
 『あ~あ、水夫頭!』
 『オキテス隊長、なんでしょう?』
 『先ほどの客の件だが、艇上での客の様子から引き合いが予想される状況であったらしい、しかし、それとも船を探りに来たのではないかとも感じられるそうだ』
 『そうですか。解りました。引き合い、受注につながればありがたい』
 イリオネスとオキテス、二人はテムノス浜頭のところを辞した。
 二人は浜に戻る道すがら話し合う。
 『軍団長、この頃合いにレテムノンを出航すると宵の口を過ぎたころにスダヌスの浜に到着します。風はいい具合に東から来ています』
 『おう、そうか。それは重畳と言えるな。我らが浜を出航して半月、ようやく、帰途に就くか、オキテス、安全航海だぞ!』
 『解りました』
 浜に戻ったオキテスは、二人の操船担当を呼ぶ。
 『おう、出航準備に抜かりはないな!』
 『準備万端、腹ごしらえも終えています』
 『こいつ!手回しが良すぎる!よし!出航する』
 オキテスが2艇を見て回る、注意を促す、最終点検を終える。
 『レテムノンを出て、スダヌスの浜へ直行する。安全航海だぞ!』と声をかける、声が晴れやかに響く。
 二人が艇に乗る、出航の声がけをする、停留の岸壁を静かに離れていく、東からの順風が2艇を押す、一路スダヌスの浜を目指して波を割りゆく。
 2艇がスオダの入り江口を目指して快走する、順調に航走してスダヌスの浜に着く、その夜はスダヌスの歓迎もてなしで宿営する。

 夜が明ける、一行は、キドニアを目指す。
 半島岬を過ぎる、イリオネスは、試乗戦闘艇でニューキドニアの浜へ直行する、オキテスはヘルメス艇でキドニアに向かう。
 オキテスは、キドニアの集散所におもむく、催行した船舶売り出し展示試乗会の結果報告をする、オロンテスとも簡単に言葉を交わし、帰途に就く。
 オキテスらがニューキドニアの浜に帰り着く、無事帰着したオキテスらを浜の者らが、先着の一行が盛大に迎えてくれる。
 アエネアスは、一行の無事帰着を心から喜んでくれる。
 一行一同がそろったところで昼食に及ぶ、アエネアス、イリオネスが加わる、顔をそろえた一同の労をねぎらい、船舶売り出し展示試乗会の終了を宣言して、ささやかながらも酒杯を交わす。
 オキテスが告げる。
 『おう、一同に伝える。次回の船舶展示試乗会の催行は11月1日より10日間にわたって行うよろしく頼む』
 『おう!』『おう!』『おう!』と歓声があがる、拍手で締めた。