『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1462

2019-01-29 09:08:49 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ニューキドニアの浜が朝を迎える。陽の昇る刻が近づく、浜の者らが続々と朝行事の浜に集まってくる、彼らの交わす声が騒々しい。
 彼らが交わす話題は、オキテスらが催行した船舶売り出し展示試乗会の快挙である。
 オキテスが浜に姿を見せる、浜にいる者らが手をたたき始める、手たたきがリズムを持ってマックスとなり、乱打となって盛大な拍手と化す、沸きあがる。
 アエネアス、イリオネスが来る、浜に集う一同から、拍手と歓声が沸きあがる。
 イリオネスとオキテスが顔を合わせる、パリヌルスとオロンテスも姿を見せる。
 全員が拍手と歓声の中で顔を合わせる、アエネアスがイリオネスとオキテスに目配せを送る、二人は、手をかざして集っている者らと交歓を交わす、浜の朝行事の一時が沸きに沸いた。
 オロンテスがパリヌルスに声をかける。
 『おう、パリヌルス、あれだな、快挙を祝して祝いの競技大会でもやるか、統領にはかってみてくれ!俺は出航の時だ行く』
 『解った』
 拍手と歓声に沸いた朝の一刻が終わる、彼らは朝食を済ませる、作業が始まる。
 アエネアスらが会所に落ち着く、受注と艇の納入、それに関する建造計画について考える。
 パリヌルスとオキテスは、アエネアスらとは異なったスタンスで事態への対応策を考える。
 彼らの一日は多忙に暮れていった。
 
 会議の朝を迎える。
 彼らは、会議の場において、事態の展望と対処を協議検討する、オキテスはこれからの営業の展望について語る。
 パリヌルスは建造の対応について述べる。
 アエネアスは、会議の顛末を見て結論を急ぐことはないとして、一日をおいて明後日に会議開催を告げる。
 『君らの考えには事態への対処に対して的確性が十分ではない。一同解ったな!この会議で結論は出さず、明後日の会議において結論を出す。建造計画と受注した艇の引き渡しを確定する。その結論を持って、各関係筋と話し合いの航海に出る。いいな』
 『解りました』
 『オキテス、関係筋と話し合って、次回の展示試乗会の催行を決める。その段取りで関係筋と話し合いをすることだ。いいな』
 『了解しました』
 会議は結論を出せないまま終える。
 オキテスがアエネアスにたずねる。
 『統領、教えていただきたいことがありますが。俺の考えに如何なる不備があるのかを教えていただければ幸いですが』
 『そうだな、この事態に関連して、お前の都合だけで営業計画が立案されていることだな。事の流れを充分に把握して計画しないと事の運びが絵空事で終わってしまうということだ』
 アエネアスがひと呼吸間をおく、オキテスの表情を見る、話し続ける。
 『人がどのように考えて動くかということを知ることだ。そのために関係筋がどのような動きをするかを聞くことだな。謙虚にふるまい対処する、これが引き合いが受注につながっていく。それが俺の思いだ』
 オキテスは、船舶と言う大きい買い物についての事の動きと人の心の動きについて、また、その業務に携わる関係筋の働きかけと効果に思いを馳せた。