『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1466

2019-02-04 05:09:55 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 うなずき合った、パリヌルスとオキテス、緊張度を高める、二人の間にただならぬ気配が漂う。
 『おう、オキテス、これは、これから先を見極めての問題だ。この案でもって講じる措置は、5か月後の新暦の時期を見つめて早急に対処する措置としてやろうと考えている』
 『先を見つめての対策ということか』
 『そうだ。催行した船舶売り出し展示試乗会の受注艇数と引き合い艇数を知りたい』
 『おう、解った!これがそうだが』と言って、二枚の木板を手に取る。
 一枚の木板には受注艇数が、もう一枚の木板には、引き合い艇数が書かれている。
 二人の目線が一枚目の木板に注がれる、その木板には受注艇数が記されている。
 船舶売り出し展示試乗会の会場ごとに受注した戦闘艇と新々艇の受注艇数である。
 『引き合い艇数は、どうだ?』
 『引き合い艇数は、この通りだ』と言って、もう一枚の木板に見入る。
 『受注艇数が8艇、引き合い艇数が12艇か、総艇数が20艇となるな。いい数ではないか、オキテス、お前の営業力は大したもんだな、立派な成果ではないか』
 『さっきも言ったように、不思議だといっているのだ』
 『ミックスパワー効果だな。それをやったのがオキテスの力ということだ。俺がやってできることではない。俺の腹案を述べる。この20艇を向こう4か月で建造する。1か月の建造体制を5艇体制の建造の場とすることを考えての構想だ。それでどうだ?』
 『パリヌルス、そのように考えてくれているのか』
 『この受注に関しては、受け取り方の引き取り予定を聞いて、発注客と打ち合わせてほしい。月間建造を5艇にすれば当面の8艇は12月の月初には完納することができる。この時点には3艇を保有して引き合いの受注に対応できる』
 『すると、この受注した船を今日から数えて、45日以内に注文客に引き渡すことができるということか。客を待たせる期間が長引くことをどうしようかと考えていたのだ』
 『オキテス、戦闘艇1艇と新々艇1艇は即納できる、11月の月の初めには戦闘艇3艇が注文客に引き渡せる。あと3艇の戦闘艇は12月初めに引き渡せる。その時点での在庫保有艇数が戦闘艇が2艇、新々艇1艇となる』
 『それで、受注した船の納入引き渡しを打ち合わせる。あとの受注に関しても45日以内の納入引き渡しで対応できるということになるな』
 『全てがそうできるということはチョット保証しかねる点もあるが、引き合いの12艇が今月中に受注となった場合は納入引き渡しが、年が明けて2月初めまでかかる』
 『引き合いの12艇が今月受注となることはないと考えられる。11月に催行する試乗展示会で半数を受注しても45日対応ができる』
 『それは、充分に対応できる』
 不安を隠して話していたオキテスの顔に安堵の表情が浮かんでくる、打ち合わせ交渉に自信の持てる建造体制となるのである。
 オキテスは、パリヌルスの腹案に賛同の意を示した。