パリヌルスとオキテスが話し続ける。
『オキテス、今のお前は客との接触の第一線で仕事をしている。現在のクレタだが、どのように目にうつる?』
『そうだな、船舶の展示会場に訪れる客だが、前回の展示会に比べて船に対する客の関心度が高まってきているように感じられる』
『そうか、世の中の要請が、俺らが造っている船に関心を示していると解していいのかな。その答えが受注と引き合いの結果に答えがあるように感じられる』
『パリヌルス、お前の言うことに同感だ!エドモン、テムノスの二人の浜頭の俺らへの対応にもそれを感じる』
『おう、オキテス、本題に戻るぞ。現在の月産4艇でも受注に対応できるが、5船台5艇のほうが建造の管理、余裕を持っての建造をしていくうえで無駄を排除してムリなく作業を遂行できる』
『解った。俺の気持ちも決まっている。船台5台、月産5艇でやる。会議で説明して決定する。これなら関係筋とも交渉がしやすい、当方の意を通せる』
『そのあとは、受注状況に合わせて船台を使って建造していけばいいわけだ。何としても、当面の課題解決が急務だ』
『解った。先が見えてきた。このあと、打ち合わせ航海の日程を考える』
『おう、それがいい。これで受注艇の引き渡しが45~50日でできる。何といっても船台5台で月産5艇をやることが先決だ。以上だ』
『ありがとう、パリヌルス』
『解った解った!』
二人の話し合いが終わった。
翌日、朝早くから会議が開かれる。建造の場の船台1台の増設が決定する。オキテスの打ち合わせ航海の日程も決まる。
オキテスは決定事項を持ってドックスと打ち合わせの時を持つ。
『ドックス、船台を1台増設する。このたび催行した船舶売り出し展示試乗会で受注した艇の建造を遂行するためだ。11月から当面5か月間くらいだが、月産5艇の建造だ。よろしく頼む』
『解りました』
『月産5艇の建造については、パリヌルス隊長からも説明がある。聞いてくれ』
『隊長、船舶の建造用材の手配の件ですが、どのようにするか打ち合わせしたいと考えています』
『それについては、派遣のガリダの手の者にガリダ頭領のもとに行かせて打ち合わせするか、タブタを呼び寄せて打ち合わせするかを考える』
『了解しました。受注艇数も解っています。今、聞いた向こう5か月の建造計画も把握しました。私に任せていただけますね』
『おう、いいだろう。ドックス、お前に任せる。不都合があれば、その都度、その旨を言ってくれればいい』
『船台の増設計画、段取りができましたら、今日の夕刻に現場に出向いて説明いたします』
『了解!頃合いになったら、俺を呼びに来てくれ。それからだが11月以降の建造計画については、打ち合わせ航海から帰ったら決定事項を打ち合わせる。いいな』
『解りました』
オキテスは、ドックスに11月から来春までの建造計画に関しての大要を伝えた。